【解説付】新サッカースタジアム 年内に建設候補地を絞り込み

清水エスパルスの本拠地となる新しいサッカースタジアムの構想を議論する静岡市の検討委員会が初会合を開き、年内に建設候補地を絞り込む方針を確認しました。

エスパルスの現在の本拠地の静岡市清水区にある「IAIスタジアム日本平」は、屋根のある観客席が26%で3分の1以上のカバーを求めるJリーグの基準を満たしていないうえに、JR清水駅からおよそ6キロあり交通の利便性が悪いとして、エスパルスが市に新スタジアムの建設を求めています。
このスタジアムの構想について、市は今年度、大学教授やサッカー関係者など14人で構成される検討委員会を設け、21日、初会合を開きました。
会合では、市が夏ごろに市民やスタジアム来場者を対象にサッカーへの興味やスタジアムに求めることなど、アンケートを行うと説明しました。
その上で、9月ごろに複数の建設候補地を示した上で年内に最有力候補地を絞り込み、来年度以降に実現可能性の議論を深めていく方針を確認しました。
委員の1人でエスパルスの山室晋也社長は「今のスタジアムの利用者は実は50歳以上が半分以上で、5年もすれば日本平の坂を上がってこれなくなる方が多数出てくる。高齢化社会を迎えると厳しい状況だ」と新設の必要性を訴えました。
検討会の会長を務める常葉大学の木宮敬信教授は、「高齢化はサッカーに限らず日本全体の問題だが、多くの子どもたちに1つの選択肢としてサッカーがあると感じてもらえる場所に新スタジアムがなるといい」と述べました。

【経済界からも期待の声】
新しいサッカースタジアムについては、6月15日の静岡商工会議所の会合でも、企業経営者から建設を期待する意見が相次ぎました。
このうち、エスパルスの最大の株主である清水区の物流大手・鈴与の高橋明彦副社長は「今のスタジアムがJリーグのルールに合致していないので、サッカーを続けていくのであれば、新しいスタジアムが必要であるのは間違いない」と必要性を述べました。
その上で整備費用の負担については「誰が建てるか決まっているわけではないと思うし、田辺市長に『静岡市で建てるよ』と言ってもらえるなら非常にありがたい話だと思う。そのところがまだ決まっていないと理解している。鈴与が出すのか、わからない」と述べました。
また、静岡商工会議所の会頭を務める静岡鉄道の酒井公夫会長は、JR清水駅東口の清水港に面した民間の土地が新スタジアムの有力候補地とみられていることを念頭に「清水の活性化のためには分散した施策よりも、清水港周辺に集中させてにぎわいを作るのがベターだろう。水族館施設や桜ヶ丘病院含めて、新スタジアムを造るのはコンセプトとしては正しいと思う」と述べました。

<解説>
【いつになる?新スタジアム】
たびたびお伝えしている静岡市の新たなサッカースタジアムの構想について解説します。(記者・三浦佑一)

(キャスター)
いよいよ市として正式な検討会が始まったわけですが、具体的なことは本当にこれからという印象ですね。

(記者)
エスパルスは2014年に田辺市長に新スタジアムの建設を要望しましたが、長らく検討が進まず、おととし(2020年)になって先に川勝知事が、JR清水駅東口に広い土地を持つエネルギー大手「エネオス」の当時の社長から、スタジアム用地提供の検討に前向きな発言を引き出しました。そして今年度、市が検討会を設置するに至りました。

ただ現時点でも市は、正式な建設候補地は未定で年末までに絞り込むとしていて、どこが建設主体となるのか、費用はどこが負担するのか、どのような設計にするのか、いつの完成を目指すのか、すべて未定です。

費用負担について田辺市長は「財政規律は守らなくてはならない」、つまり市が際限なくお金を出すわけにはいかず、「公民連携で臨みたい」と行政と民間で費用を出し合う枠組みを検討する考えを示しています。

しかしエスパルスの親会社の鈴与ですら、「費用負担についてはわからない」と負担を明言していません。市は、完成までに10年程度かかる可能性も想定しているといいます。

(キャスター)
市民からもアンケートで意見を聞きながら進めるということなんですよね。

【“サッカー意識”に変化?】
(記者)
そこで私が1つ気になるのが、子どもや若い世代の意見です。
これも以前「たっぷり静岡」でお伝えしましたが、静岡市葵区の千代田小学校で、スタジアムなど静岡市の大型事業について考える授業が5時間にわたって行われました。
6月10日の最後の授業で、静岡市の魅力を伝えるために「「新スタジアムと海洋文化施設(水族館)、どちらが必要か」というテーマで子どもたちが投票をしたところ、スタジアムは2票、水族館は27票という結果だったんですね。

担任の先生によると、子どもたちの間では「サッカーファンは一部だけ」という意見が目立ったということで、この先生は「今の子どもたちはエスパルスの全盛期を知らず、『静岡はサッカーの街』とはあまり思っていないのでは。騒音や予算を心配して建設に反対する意見も多かった」と振り返っていました。

(キャスター)
確かに、エスパルスはまもなく30周年を迎えますけど、優勝争いをしていたころの盛り上がりなど、子どもたちは直接は知らないでしょうね。

(記者)
これは1つの小学校のクラスの意見に過ぎません。
しかしJリーグが公表しているデータでもスタジアム観戦者の平均年齢は、2004年では34.7歳だったのが、コロナ禍前の2019年では42.8歳と上昇しています。
エスパルスに限ると43.5歳と、全体よりさらに年齢層が高い傾向です。
時代が移り変わる中でサッカーを静岡市の財産として維持し続けられるのか、行政やエスパルス、そのサポーターに限らない、全市民的な議論が必要と思います。

(※このニュースと解説は「たっぷり静岡」番組ホームページの特集欄にも、画像や過去の関連特集のリンクとともに掲載します)