サポートカー限定免許 導入半年以上も県内では取得なし

高齢ドライバーの事故を防ごうと、自動ブレーキなどの安全機能を備えたサポートカーに限定した運転免許が導入されて半年以上が過ぎましたが、宮城県内では、この免許を取得した人は1人もいないことが警察への取材でわかりました。
一方、高齢者ドライバーによる事故は増加傾向で、警察は、事故の防止につながるとして、免許の取得を呼びかけています。

高齢ドライバーの事故防止対策を進めるため、ことし5月、改正道路交通法が施行され、自動ブレーキやアクセルペダルの踏み間違い防止装置などの安全装置を備えたサポートカーに限定した運転免許が新たに導入されました。
生活のために車が必要な高齢ドライバーなどの乗り換えを促すのが狙いで、導入から半年以上が過ぎましたが、県内では、12月5日現在、この限定免許を取得した人は1人もいないことが警察への取材でわかりました。
一方、警察によりますと、県内で起きた高齢ドライバーによる人身事故は、ことし10月末までで、去年の同じ時期より76件多い873件で、全体の3割近くを占め、年々増加傾向だということです。
県警本部運転免許課は「サポートカーの導入は事故を未然に防ぐことにもつながるので、高齢者の方には選択肢のひとつとして免許の取得を考えてほしい」と呼びかけています。

【限定免許取得のメリット少ない】
限定免許を取得する人がいないことについて、高齢ドライバーの問題に詳しい立正大学心理学部の所正文教授は、サポートカーへの買い替えなど免許を取得する環境が整っておらず、事故防止対策としても、地域の実情にあわせた仕組みや生活の支援体制も必要だと指摘しています。
サポートカーをめぐっては、メーカーによる新車への安全機能の導入は進んできたものの、機能を後付けするのは難しいため、サポートカーを所有していない人が限定免許を取得するためには車を買い替える必要があり、所教授は環境が整っていないことが背景の1つとしています。
所教授は、「サポートカーの購入への自治体の補助も価格と比較して十分ではないなど、そもそも限定免許を取得するメリットが少ない」と指摘しています。
その上で、高齢ドライバーの事故防止対策について、「都心部と地方では、人口密度や道路の混雑状況、公共交通機関などの事情が違うので、高齢者が免許を所持できる基準を地域単位で設けるとともに、免許の返納を希望する人には移動手段の確保など返納後の生活支援を充実させることも重要だ」と話し、サポートカーの普及だけでなく、地域の実情に合わせた仕組みや支援体制を整えることが求められると指摘しています。