東北大学大学院生 津波避難でアドバルーン研究へ 資金募る

東日本大震災を教訓に逃げ遅れによる津波の犠牲者を減らそうと、東北大学の大学院生が、避難ビルなどの屋上からアドバルーンを打ち上げて周囲に避難場所を知らせる研究プロジェクトを始めることになり、インターネットで必要な資金を募っています。

プロジェクトを企画したのは、東北大学大学院で津波避難の研究を行っている成田峻之輔さんです。
成田さんは、逃げ遅れによる犠牲者を減らそうと、津波警報の発表を受けて「津波避難ビル」などの屋上からアドバルーンを打ち上げ、周囲の人に避難場所をいち早く知らせる方法を研究しています。
バルーンには、ひらがなで「ひなん」と書いた垂れ幕を取り付けて、20メートル以上の高さまで上げることで、子どもや遠くにいる人にも一目でわかるようにする計画だということです。
垂れ幕はふだん、企業の広告として使ってもらうことで維持管理の費用にあてる計画で、持続可能な防災の実現を目指すとしています。
ただ、装置の製作費や効果を検証する実験費用に50万円かかると見込んでいて、成田さんは、今月いっぱい、クラウドファンディングで寄付を募っています。
成田さんは「津波からの避難は時間との勝負なので、視覚的にもわかりやすく避難先を知らせることが何より大切だ。震災の教訓を踏まえて、自分にできることをやっていきたい」と話していました。

【土地勘ない人への避難場所周知が課題】
宮城県がことし5月に公表した想定で、1メートル以上の津波の第1波が到達する時間が最も早いのは、気仙沼市と石巻市で地震発生から21分後、南三陸町で23分後、女川町で25分後とされています。
東日本大震災を教訓に、県内の沿岸部では「津波避難ビル」や「津波避難タワー」の指定が増えて、現在、その数はおよそ120か所に上っています。
地域住民には、防災訓練などを通じてふだんから避難場所を把握してもらうことが大切ですが、観光客など土地勘のない人にどのように周知するかは課題となっています。