食材値上がりで給食現場は… 限られた予算で試行錯誤

円安などの影響で食材の値上がりが続く中、県内では2市町が今年度、小中学校の給食費を値上げしたことがNHKのまとめでわかりました。
一方、全体の4分の3の自治体は「値上げの予定は当面ない」としていて、限られた予算の中、栄養バランスをどうするかなど試行錯誤を続けています。

円安や物流コストの上昇などの影響で、食用油や、肉や卵の加工品など、給食に使われる多くの食材が値上がりしています。
こうした中、NHKは今月、県内の35市町村すべてに小中学校の給食費への対応を取材したところ、石巻市と涌谷町が今年度、値上げに踏み切ったことがわかりました。
具体的には1食あたり、石巻市が、小学校で16%値上げして286円、中学校で19%値上げして350円、涌谷町が、小学校で16%値上げして290円、中学校で18%値上げして350円になったということです。
七ヶ宿町、大郷町、大衡村は給食費を無償化していて、このうち大衡村は、食材にかかる費用は増えたものの、児童・生徒の家庭の負担はないとしています。

一方、全体の4分の3にあたる27の市と町は「給食費の値上げは当面ない」と回答しました。
これらの自治体では、豚肉をより安い鶏肉に切り替えたり、値上がりした食用油の使用量を抑えるため、揚げ物を減らしたりするなどの工夫をしているところもあります。
ただ、現場の対応だけでは値上がり分を補うのは難しいのが現状で、仙台市や名取市など20の自治体では、保護者の負担を増やさないよう、国の臨時交付金を活用するなどの財政措置を検討しています。
食材の値上がりは今後、しばらく続く見込みで、給食の現場では限られた予算の中、栄養バランスや食事の量をどう確保していくか試行錯誤を続けています。

【大崎市の給食現場では】
食材の値上がりが続く中、県内の給食の現場では、献立に使う食材をより安いものに切り替えるなど模索を続けています。
このうち、大崎市の大崎南学校給食センターでは、市内の小中学校や幼稚園など5か所に向けて、1日におよそ720食分の給食を作っています。
食材の値上がりが続くなか、ここでは給食費を値上げせずに栄養バランスが取れるよう、献立によって鶏肉の「もも肉」をより安い「むね肉」に切り替えたほか、一部の野菜は地元の農家から仕入れるなど、コストを抑えるための工夫をしているということです。
しかし、こうした工夫だけでは値上げ分を補うのは難しく、国の臨時交付金を活用することを検討しています。
大崎南学校給食センターの佐藤沙織栄養教諭は、「このまま値上がりが続いていくと、今までどおり給食が出せるのか不安もあります。給食は教材としての役割もあるので、給食センターで知恵を絞り、工夫できる食材で調整して、行事食やデザートなど、できるだけ今までどおりの給食が出せるようにしたいです」と話していました。