【解説】高校生殺害 逮捕1週間 捜査の進展は 今後の焦点は

高校生を殺害した疑いで容疑者2人が逮捕された事件から1週間。捜査状況について旭川放送局の上松記者が解説します。

Q.1週間で捜査はどのような進展があったんでしょうか?
A.一連の事件では4人が逮捕されていますが、互いの関係性やいきさつが徐々に分かってきました。
捜査関係者によりますと、▼殺人の疑いで逮捕された2人と、▼監禁などの疑いで逮捕された16歳の少年少女は知人どうしで、中でも1番年上の内田容疑者は19歳の容疑者を自分の「舎弟」と呼ぶなど、ほかの3人よりも力関係が上だったということです。
事件でも主導的な立場でした。
一方で、4人とも被害者の高校生とは事件になるまで直接の面識はなかったとみられています。

Q.事件の経緯をあらためて整理してください。
A.発端は高校生がSNSに内田容疑者の写真を無断で使ったことでした。
これに因縁をつけた内田容疑者が、4月18日の夜、16歳の少年と共謀してSNSで恐喝します。
高校生は解決を図ろうと電子マネーでの送金を試みましたが、うまくいかなかったということです。
このため、その日のうちに高校生を留萌市の道の駅に呼び出し、車に監禁。
およそ50キロ離れた神居古潭まで連れて行きました。
監禁はおよそ4時間におよび、途中、高校生は旭川市内のコンビニエンスストアで大声を出して逃げようとしましたが、容疑者らは暴行を加えて逃げ出さないようにしていたということです。
最終的に内田容疑者と19歳の容疑者の2人が、翌日19日未明に橋から転落させて殺害した疑いが持たれています。
調べに対し「橋の周辺に防犯カメラがなく、人目に付かない場所だと知っていた」などと供述しているということで、証拠が残らない場所を選んだとみられています。

Q.今後の捜査の焦点は?
A.SNSのトラブルをきっかけに始まった今回の事件。
一見、ささいな問題のように見えるのですが、なぜ、殺害にまで至ってしまったのか、詳しいことははっきりとわかっておらず、動機の解明が、焦点の1つです。
また容疑者が16歳から21歳の若者だということも特徴の一つで、ネットのトラブルに詳しい専門家は殺人にまで発展するのは非常に特殊なケースだと指摘します。
子どものSNSをめぐるトラブルに詳しい兵庫県立大学の竹内和雄教授は「今回、殺人にまでなったのは驚きだが、勝手に自分の画像がSNSで使われてネット上の自分が辱められることにものすごい怒りを覚えることはありがちだ。SNSに画像をあげるだけで殺人事件が起きるほどの大きな問題になったことは、社会全体に警鐘を与えられると思う。ひぼう中傷や悪口を書いたり、ネットは無法地帯だと思っている子が多いので、ネットリテラシーの教育が絶対に必要だ」と話しました。
SNSや電話、そして対面と、やり取りが進むにつれて、エスカレートしていった背景に何があるのか。
警察は今後、容疑者らの取り調べを進め実態解明を進めることにしています。