“夫婦別姓認めない規定は憲法違反” 国に賠償求め提訴 札幌

夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に違反するとして、道内や本州に住む12人が8日、国に賠償などを求める訴えを起こし、札幌市に住む事実婚のカップルも札幌地方裁判所に訴えを起こしました。

札幌地方裁判所に訴えを起こしたのは、札幌市に住む事実婚のカップル、▼佐藤万奈さん(37)と▼西清孝さん(32)の2人です。
訴えによりますと、2人は5年前に結婚し妻が名字を変えましたが、職場で旧姓を使えないことへのストレスから体調を崩すなどしたため、やむを得ず離婚して事実婚を選択しました。
2人は夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定について「婚姻の自由などを保障した憲法に違反し、無効だ」などとして、国に対して損害賠償などを求めています。
8日は東京と長野に住む原告10人も東京地方裁判所に訴えを起こしていて、原告と弁護団は▽結婚して名字が変わると旧姓にひも付いていた信用や評価を維持することが難しくなるほか、アイデンティティーの喪失を感じる人も少なくないと主張しています。
また、▽結婚を諦め事実婚を選んだ夫婦も相続で不利になるなど、結婚した夫婦との違いがさまざまな場面であり、常に不安を抱えているとしています。
【原告2人の思い】
札幌市に住む原告の佐藤万奈さんと西清孝さんです。
2人は、医療機関で同僚として働いていた5年前に結婚しましたが、佐藤さんが姓を変えることに違和感を感じていたことに加え、職場で旧姓を使うことに理解が得られず、ストレスを感じるようになったと言います。
佐藤さんは「当時の上司にどうして旧姓にこだわるんだと言われ、わざとみんなの前で『西』と呼ばれたりしました。ささいな事ですが職場に行くと体調が悪くなるようになり、10年以上勤めた仕事をやめざるを得ませんでした」と話していました。
その後、夫婦で話し合い結婚からおよそ1年後、やむを得ず法律上の離婚の手続きを取って事実婚で暮らす決断をしました。
西さんは、「妻の調子がだんだん悪くなっていくのを見て、自分が改姓するかどうかと考えてみると積極的にしたくはないと思いました。改姓しないという選択肢があっていい」と話していました。
そのうえで佐藤さんは提訴をすることによって「結婚しても名字を変えたくないと言ってもいいんだよ、私たちみたいな夫婦もいるんだよと伝えたいです」と話していました。