小中学生タブレット端末 修理費6億円 埼玉県内の自治体負担

小中学生に1人1台のタブレット端末などを整備する「GIGAスクール構想」が進められていますが、NHKが埼玉県の人口10万人以上の21の自治体を調べたところ、昨年度、破損や故障して修理や交換が必要になった端末が1万5000台あまりにのぼり、対応に必要な費用は6億円を超え、各自治体が負担していることがわかりました。
経年劣化で今後さらに修理費がかかる事態も予想されていて、課題となっています。

文部科学省によりますと、全国の小中学生には1人1台のタブレット端末や学習用のパソコンがほぼ整備され国の「GIGAスクール構想」が本格的に進められています。
こうしたなかで、NHKが埼玉県の人口10万人以上の21の自治体にアンケート調査を行ったところ、回答があった20の市で昨年度、故障や破損で修理や交換が必要になった数が、少なくとも1万5000台あまりにのぼったことが分かりました。
また、こうした対応に必要な費用は回答があった17の市で少なくとも6億円を超え、各自治体が負担していることがわかりました。
このうち、端末の修理費用は2億1000万円あまりで、中には単独で8600万円を超える自治体もあったほか、破損や故障に備えるため保険に入るなどして対応する自治体もあり、費用はおよそ3億9000万円にのぼりました。
修理などにかかる費用には国からの補助金はなく、アンケートに回答した自治体からは「日常的に持ち歩いて使う以上、故障は避けられない。無償かつ無制限の故障対応の保険への加入が重要だが、費用が高額なのも課題の1つ」という回答も寄せられました。
文部科学省では配備して数年たつ端末の更新費用と修理や交換が必要になった場合も児童・生徒が端末を使えるよう予備機の購入費として去年2600億円余りの補正予算を計上しましたが、端末の修理や破損や故障に備えるための保険費用は対象にはなりません。
このため、自治体からは一定の費用負担が生じ続けることへの懸念の声も聞かれ、「GIGAスクール構想」を今後も進めるにあたってこうした負担とどのように向き合っていくかが課題になっています。
文部科学省によりますと、去年7月までの2年あまりの期間に全国のすべての自治体などを対象に行った調査の結果、自治体によってばらつきがあるものの、全体のおよそ5%にあたるおよそ51万台で端末の破損などが確認されたということです。
一方で、こうした対応のために各自治体が投じた費用がどのくらいにのぼるかについては、これまでに調査したことはなく分からないとしています。
文部科学省の学校デジタル化プロジェクトチームは、「端末の日常的な活用が進む中、児童や生徒の学びを止めないためにも、故障に速やかに対応できるようにすることが非常に重要です」として、破損や故障した場合も予備機で学習ができるよう昨年度の補正予算で端末の更新費用だけでなく15%分の予備機の購入も補助の対象として各都道府県に基金をつくることにしたといいます。
そうすることで、「十分な予備機を購入して修理に備えた保険などのコストの軽減も見込めると考えています」とコメントしています。