さいたまの介護施設での交通事故 会社代表が謝罪

事故が起きた通所介護施設の運営会社の代表取締役が取材に応じ、「亡くなった方や関係者に深くおわびします」と謝罪した上で、警察の捜査に全面的に協力していく考えを示しました。
事故が起きた通所介護施設の運営会社、「リハビリテーションクリエーターズ」の神山光代表取締役は14日午後、さいたま市見沼区の施設に献花台を設け花を手向けました。
このあと取材に応じ、「お騒がせしたことに対し、誠に申し訳なく、亡くなられた利用者様、ご遺族、すべての関係者の方に深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。
また、事故が起きたときの状況について、施設が設置している防犯カメラの映像を確認したことを明らかにした上で、事故を起こした送迎車は利用者を順番に乗せるため玄関付近で待機していた際、突然、前向きに進み出し、ブレーキを一切かけることなく3人をはねたあと施設のスロープに乗り上げ、建物の壁付近に衝突して止まったということです。
また死亡した飯泉利夫さん(89)と関拓子さん(88)の2人について「コンビニに自分で歩いて行くことを目標に、立ち上がり運動に日々取り組むなどリハビリを頑張っていて、スタッフに人気の方々でした」と話していました。
その上で神山代表は警察の捜査に全面的に協力していくとともに当面、施設の運営を取りやめ遺族らに誠心誠意対応していく考えを示しました。

施設の運営会社によりますと送迎車を運転していた窪島達郎容疑者(75)は2年前の7月にアルバイトとして採用され、週に2回程度勤務していたということです。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて運転手の確保が難しくなる中で、健康で足腰もしっかりしておりハキハキとした話し方などが採用の決め手でした。
これまでに持病があるという報告もなかったとしています。
また、13日の勤務開始のアルコールのチェックや新型コロナの感染に関するセルフチェックでも異常はなかったとしています。
働き始めた当初何度か送迎車をこすったり、バックする際に軽微な事故を起こしたりしたことがあり指導したということです。

デイサービスを行う事業者でつくる日本デイサービス協会の河合眞哉理事は「通所介護施設で送迎を行うドライバーは、勤務時間が朝と夕方の数時間のみでフルタイムで働きたい若者が集まりにくい」と指摘していて、「時間の融通が利く高齢者の応募が多く、業界の構造として高齢者に頼らざるを得なくなっている」と話しました。
河合理事も都内で9つの施設を運営していて、今回の事故について「わたしの事業所も70代のドライバーが9割を占めていていて、『どちらが利用者なのかわからない』と言われるぐらいの方々が送迎をしています。あすは我が身ではないですが、どこにでも起きうるので非常にショックです」と話していました。
河合理事の施設では対策として採用時に運転技術の確認や、事故があれば情報共有すること、利用者から急ブレーキや急発進など危ない運転がないか聞き取って運転手に注意をしているということです。
一方で、強く言いすぎると退職してしまうこともあり、人手不足のなかで注意しづらい場合もあるということです。