埼玉県議 維新の中村議員 県選管が当選を無効とする決定

ことし4月の埼玉県議会議員選挙で初当選し、有権者から住所要件に疑義があると異議の申し出があった日本維新の会の中村美香議員について、県の選挙管理委員会は、被選挙権の要件である3か月以上県内の同じ市町村に続けて住んでいたことが確認できなかったとして、当選を無効とする決定をしました。

埼玉県議会の中村美香議員は、ことし4月の県議会議員選挙で、草加市を選挙区とする南1区から立候補して初当選し、埼玉県議会では、日本維新の会として初めての議席を獲得しました。
しかし、4月下旬、有権者から「議員の住所要件に疑義がある」と県の選挙管理委員会に異議の申し出がありました。
県議会議員選挙の場合、公職選挙法では、県内の同じ市町村に3か月以上続けて住んでいなければ、被選挙権がないと規定されていて、選挙管理委員会が居住の実態などについて調査してきました。
その結果、去年12月から1か月あまり三郷市に、その後、ことし2月から4月の投票日まで2か月あまり草加市に住んでいて、いずれも3か月以上に満たないとして、県選挙管理委員会は、当選を無効とする決定をしました。
選挙管理委員会に対し、中村議員は「県内の住民登録が3か月以上あることが、被選挙権の要件という認識だった」と話していたということです。
中村議員は、不服がある場合、決定の取り消しを求めて裁判所に提訴することができ、不服を申し立てなければ、当選の無効が確定します。

中村議員は、自身のツイッターで、「ご心配をおかけして申し訳ありません。議席を与えてくれた有権者の気持ちを考えると心苦しいです。党本部とも協議して本件の説明や今後の対応を報告します」とコメントしています。

中村議員の当選を無効とする決定が出たことについて、地元の草加市の有権者に聞きました。
80代の女性は、「草加にずっといて、草加のためにやってくれていて、それで立候補しているのではないので、なんだかおかしいなとは思っていました」と話していました。
80代の男性は、「草加にあまり住んでいないのに、草加の選挙区から出るということ自体どうなのかと、疑問があります」と話していました。
また、70代の女性は、「規則は規則だからしかたないと思います。居住要件を満たすというのは、立候補するにあたって最初の条件だと思います」と話していました。

中村議員の当選無効について日本維新の会の埼玉県総支部は「有権者および関係者の皆様にご心配をおかけしておりますこと、心よりおわび申し上げます。決定内容を精査し、中村美香本人および党本部とも協議して迅速に対応方針について検討してまいります」とコメントしています。

埼玉県選挙管理委員会によりますと、中村議員は今回の決定に不服がある場合、来月17日までに、決定の取り消しを求めて東京高等裁判所に提訴することができます。
東京高等裁判所が訴えを退けた場合は最高裁判所に上告でき、決定が確定するまでは、議員の身分を失わず、報酬を受け取ることができるということです。
不服を申し立てなければ、来月17日に当選の無効が確定する見通しで、その場合、草加市選挙管理委員会が、被選挙人の要件を満たしているか確認した上で、次点だった立憲民主党の新人の小森克己氏の当選が決まります。
日本維新の会は、埼玉県議会で初めて獲得した議席を失うことになります。