“勾留中の弁当のビタミン不足で一時危篤” 埼玉県に賠償命令

埼玉県内の警察署に勾留中、出された弁当の栄養に偏りがあり、一時、危篤になったとして、男性が賠償を求めていた裁判で、さいたま地方裁判所は健康を保つ食事を提供する義務を怠ったなどとして、県に55万円を支払うよう命じました。

都内に住む40代の男性は、埼玉県警の川口警察署に勾留されていた平成30年の5月から6月にかけて手足のしびれを感じ、「かっけ」などを発症して、一時、危篤状態になったのは、出された弁当にビタミンB1が不足していたためだなどとして、県に1000万円の賠償を求めていました。
これに対し県は「業者から弁当の試作品の提出を受け、仕様書の内容の品質が順守されていると判断して契約した。ビタミンB1の不足が体調不良の原因だとは認識しえなかった」などと主張していました。
16日の判決で、さいたま地方裁判所の沖中康人裁判長は、「かっけは、過去に国民病と言われ、原因は広く知られている」としたうえで、「被告はビタミンB1が欠乏しないよう注意すべき義務を怠った結果、原告がかっけになったと認められる」として、県に55万円の賠償を命じました。
警察は、原告に弁当を提供していた業者とはすでに契約を解除しているということです。