5歳男児の遺体遺棄事件 傷害致死の疑いで母親ら3人再逮捕

埼玉県本庄市の住宅で5歳の男の子の遺体を床下に埋めたとして逮捕された母親ら3人について警察は26日、男の子に投げ飛ばすなどの暴行を加えて死なせた傷害致死の疑いで再逮捕しました。

再逮捕されたのは、埼玉県本庄市の派遣社員、柿本知香容疑者(30)と無職の丹羽洋樹容疑者(34)、それに丹羽容疑者の内縁の妻で無職の石井陽子容疑者(54)です。
警察の調べによりますと、3人はことし1月18日ごろ、同居する本庄市の自宅で柿本容疑者の長男の歩夢くん(5)に投げ飛ばすなどの暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の疑いがもたれています。
警察は、住宅の床下に歩夢くんの遺体を遺棄した疑いで今月5日、3人を逮捕するとともに死亡した経緯について捜査を進めていました。
その結果、遺体の状況などから歩夢くんが後頭部に強い力を受けて死亡したことなどがわかったということで、26日、再逮捕しました。
警察は、3人の認否について捜査に支障があるとして明らかにしていません。

柿本歩夢くん(5)が通っていた保育園によりますと、歩夢くんは0歳だった平成29年に入園したということです。
元気で外で遊ぶのが好きだったといい、友だちには優しく接していたということです。
保育園によりますと、去年1月に事件があった家に住むようになってから落ち着きがなくなったように見えたということですが、そのほかには体の傷などの異変は見られなかったということです。
最後に登園したことし1月12日も特に変わった様子はなかったということです。
歩夢くんが亡くなったことについて、保育園は「助けてあげたい命が一つ奪われた。守れなかったことが悔しい」と話しています。

警察や本庄市などへの取材で明らかになった事件の経緯です。
【4人が同居】
現場の住宅には、丹羽容疑者と内縁の妻の石井容疑者が住んでいましたが、去年1月ごろから柿本容疑者と長男の歩夢くんが移り住み、一緒に生活するようになります。
住んでいる場所が変わったことを知った保育園は、柿本容疑者に転居先を尋ねましたが、言おうとしなかったということです。
また、その頃から歩夢くんの落ち着きがなくなったように見えたということです。
【虐待の疑いで通報】
4人の共同生活が始まって8か月後の去年9月、虐待の疑いがあると市に通報が寄せられます。
その内容は、飲食店で正座をして1時間以上、丹羽容疑者とみられる相手から説教を受け、その様子を母親がスマートフォンで撮影していたというものでした。
店は、歩夢くんが長時間説教を受ける様子をそれまでにも2回目撃していたことから、歩夢くんから通っている保育園を聞き出し通報したということです。
【市「虐待認められず」】
翌日、市の担当者が保育園で柿本容疑者に確認したところ「息子が言うことをきかないときは同居している知人に叱ってもらっている。身体的な暴力はない」と答えたということです。
市は児童相談所と情報を共有するとともに、保育園を通じて状況を確認しましたが、親子関係は良好で虐待の兆候は見られなかったとしています。
【突然の退園】
大きな変化があったのはことしに入ってからでした。
歩夢くんが1月12日を最後に保育園に来なくなったのです。
その8日後の1月20日、柿本容疑者が退園の手続きをするため市役所を訪れました。
このとき、担当者から歩夢くんの安否を聞かれると「大阪の実家で元気にすごしている」と話したということです。
先月8日にも市の担当者との電話で同じ説明をしましたが、市が大阪の自治体に問い合わせたところ、今月2日になって転居した実態はないという回答が返ってきました。
【遺体発見】
市はその日のうちに警察に通報。
捜査関係者によりますと、警察が柿本容疑者に事情を聞いた際「コロナが怖くて大阪には行けず、家に閉じ込めている」などと説明したということです。
その後の捜査で住宅の床下の土の中から歩夢くんの遺体が見つかり、3人は遺体を遺棄した疑いで逮捕されていました。