玄海町の旅館組合など 「文献調査」応募で請願を町議会に提出

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分地選定をめぐって、佐賀県玄海町の旅館組合などは、第1段階の調査にあたる「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求める請願を町議会に提出しました。

「核のごみ」は、地下300メートルより深くに最終処分場を設けて埋める「地層処分」を行うことが法律で決まっていて、処分地の選定に向けて20年程度をかけて3段階で調査を行うことになっていますが、4年前に北海道の2つの自治体を対象に始まって以降、調査地点は増えていません。

玄海町によりますと、地元の旅館組合と飲食業組合、それに防災対策協議会の3団体は、第1段階の調査にあたる「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求める請願を15日議会に提出したということです。

これを受けて玄海町議会は、今月中に原子力対策特別委員会を開き、請願について意見を交わすことにしています。

玄海町には、九州電力の玄海原子力発電所が立地しています。

請願が提出されたことについて脇山伸太郎町長は、「重く受け止め、請願の内容を確認するとともに議会での議論を見守りたい」とコメントしています。

「核のごみ」の処分地選定をめぐっては、去年、長崎県対馬市の市議会が調査の受け入れを求める請願を採択しましたが、市はこれを受け入れない意向を表明しました。

文献調査についての請願書が提出されたことについて、玄海町議会の上田利治議長は「特別委員会の中で前向きに進めていきたいと思っている。議会だけでなく町民の皆さんにもわかりやすく説明できれば」と述べ、前向きに検討する考えを示しました。

その上で、「この問題は立地自治体としての責務だと思っている。ただ発電するだけで自分たちの役割が終わったというものではない。地元から出た廃棄物は協議しながら処分地を探していくのが筋だと思っている。今後とも全国的に呼びかけていきたい」と話しました。

佐賀県の産業グリーン化推進グループは「請願書が町議会に出された段階なので、どのような議論や取り扱いがされるのかその状況を注視していく」とコメントしています。