保育施設がアレルギー発症の責任問わずの同意書求める 県指導

鳥栖市内の保育施設が、食物アレルギーがある園児の保護者に対し、症状を発症しても施設の責任は問わないとする「同意書」の提出を求め、佐賀県が不適切な対応だったとして指導を行っていたことが分かりました。

佐賀県などによりますと、鳥栖市内の保育施設は去年12月ごまアレルギーがある園児の保護者に対して、アレルギー症状を発症しても施設の責任や補償を問わないことを約束する同意書の提出を求めていました。

保護者は同意書を提出せず、園児はその後退園したということです。

県は1月の監査で同意書を把握し、法律では正当な理由がない限り保育施設の利用を拒むことはできないとなっていることから、対応は不適切だったとして、この施設を口頭で指導したということです。

保育施設では園児が以前、給食のあとにアレルギー症状を起こした際に、給食にごまを使わないことやショック症状が出たときに使う「エピペン」という注射の使い方の研修など、県の指導を受けた再発防止を進めましたが、同時に、保護者には同意書の提出を求めていたということです。

佐賀県は、3日、県内すべての保育施設に対し、アレルギーがある園児への対応に関するガイドラインを改めて通知したということで、県こども未来課は「監査や研修の機会を通じてアレルギー対応への注意を呼びかけていく」と話しています。

保育施設は「園児が退園することは知らず、卒園まで預かり続けられるように対応をしていた。同意書については、署名をいただけないということだったので、保護者と対応を協議しもう少し分かりやすい内容にし、理解してもらいたかった」と話していました。

園児の保護者は「園側は『責任や補償を求めない』との同意書に署名捺印しないと子どもを預かれないと言ったのに、今になって『そんなことは言っていない』と話し、納得できない。また、なぜうちの子が園をやめなければならなかったのか、ほかの保護者に説明もなく、今いる子どもがかわいそう」と話していました。