百貨店「佐賀玉屋」が再生計画発表 創業家出身社長は退任へ

県内唯一の百貨店「佐賀玉屋」は経営不振を理由に京都府の不動産会社から出資を受けて、本館の建て替えを進めるなどとした再生計画を発表しました。
百貨店としての営業は継続し従業員の雇用も維持するとしていますが、200年以上の歴史がある創業家出身の社長は来月退任することになります。

佐賀市の「佐賀玉屋」は90年前百貨店として開業し、長年地元で親しまれてきましたが、郊外の大型商業施設との競合や新型コロナの影響で、厳しい経営環境が続いていました。

こうした中、佐賀玉屋は11日、京都府の不動産会社「さくら」から新たに出資を受け、本館の建て替えを進めるなどの再生計画を発表しました。

発表などによりますと、来月末に200年以上の歴史がある創業家出身の田中丸雅夫社長が経営責任を取って退任し、スポンサーが新たな社長を擁立するとしています。

その上で来年春以降、耐震化の必要がある本館の建て替えを進める計画で、工事の期間中は南館に売り場を集約して百貨店の事業を継続するということです。

佐賀玉屋の名前は変更せず、パートを含めた従業員およそ140人の雇用も維持するということです。

佐賀玉屋は「皆様の期待に添えるよう努めて参りますので、変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます」とコメントしています。

佐賀玉屋の米倉博一営業企画部長は「百貨店事業だけで継続していくことは難しいので、この計画によりサービス業なども手掛ける『さくら』の手腕で事業が多角化できると期待している」と話していました。

佐賀玉屋が再生計画を発表したことについて、佐賀県の山口知事は「百貨店として続いていくこと、雇用が維持されることについては、安堵しています。新たにスタートする佐賀玉屋をこれからも盛り上げていきたいと思います」とするコメントを出しました。

「佐賀玉屋」の発表について、地元・佐賀市の坂井英隆市長は「事業や従業員の雇用が継続されるということで、前向きに受け止めている。建物の耐震化については補助制度があり、中心市街地の振興に関する助成制度もあるので、具体的な再生計画を聞いて今後の対応について検討したい」と述べました。