佐賀県 市村記念体育館の改修計画 凍結へ 資材の高騰などで

佐賀県は大規模な改修工事を計画していた佐賀市の市村記念体育館について、資材価格の高騰などで事業費のさらなる上振れが予想されるとして、事業を凍結する方針を明らかにしました。

これは24日、山口知事が会見で明らかにしたものです。

佐賀市城内にある市村記念体育館は、モダニズム建築の傑作を数多く残した建築家・坂倉準三の設計で昭和38年に開館しましたが、老朽化を理由に体育館としての利用は平成29年から停止していました。

県は、52億円余りをかけて耐震化工事などを施し、「文化や芸術の活動拠点」として整備する計画でしたが、先月に行われた入札は「不落」となり、不成立となっていました。

不成立の原因について、県は工事の資材価格や人件費の高騰が原因だとしていて、事業を継続した場合、今後さらに30億円程度の事業費の上振れが予想されるとしています。

このため、事業を凍結する方針を決めたということです。

山口知事は「とてもすばらしい先駆的な事業と考えていたが、県民負担の面から考えて今がやる時ではないと判断した。苦渋の決断だが凍結することで進めたい」と話していました。

【県立大学の立地は検討を継続】
一方、佐賀県が開学を目指している県立大学について、県は今後、大学教授などが参加する専門家チームを設けてカリキュラムの詳細などの検討を進めることにしています。

佐賀県が5年後の2028年4月以降の開学を目指している県立大学をめぐり、県は24日、9月に示された素案を修正した県立大学の基本構想案を公表しました。

ビジネスや情報技術を柱とした学部を設置するといった当初の素案から大きな修正はありませんでした。

一方、大学の立地についてはさらに検討を続けるとして盛り込まれませんでした。

県は年内に基本構想を確定させたうえ、大学教授などでつくる専門家チームを設置して構想の具体化を進めることにしていて、そのための費用など800万円を盛り込んだ補正予算案を今月30日に開会する11月議会に提出することにしています。

山口知事は会見で「11月議会でこの基本構想を確定すればいろんな人たちを巻き込んでの仕事になっていくので、われわれからすると大きな節目を迎える。不退転の決意で、県議会や県民の皆さんにしっかりと説明をしていきたい」と述べました。