4年前には折れた松の木が軽乗用車に衝突 小学生死亡の事故も

「虹の松原」を通る県道では、4年前の7月20日に折れた道路脇の松と走行中の軽乗用車が衝突して小学生が死亡しました。

事故を受けて県唐津土木事務所が倒れた場合に県道に影響がある松について樹医に調査を依頼した結果228本の松が倒れる危険性が最も高い「E判定」とされていました。

しかし今回折れた松は道路の端から松原の中の12メートルの地点に生えていて、「県道に影響はない」として樹医の診断を受けておらず「E判定」とは認定されていませんでした。

今回は、樹医の診断を受けなかった松が道路を塞ぐように倒れたということで、県道の安全管理の方法や倒木への対策のあり方が改めて問われそうです。

道路を管理する佐賀県唐津土木事務所は「倒木が発生したことについて残念に思っている。引き続き巡視や診断必要に応じた伐採を行いさらに安全対策に取り組んでいきたい」とコメントしています。

また国の森林管理署は今回倒れた松も含めて松原の中を職員が週1回以上目視での見回りを行い、木が腐っていないかや、葉の色に異常が無いかを確認していましたが、これまでに問題は報告されていなかったということです。

森林管理署の担当者は、「これまで調査は目視でのみ行っていたが、木の中の空洞をどう確認するかなど、今後の調査方法について検討していく必要がある」と話していました。

「虹の松原」で折れた松と走行中の自動車が衝突した事故で亡くなった当時小学5年生の川崎辿皇さん(当時11)の母親の明日香さんは、松の木の危険性を認識しながら放置したことが原因だとして、松原を所有する国と県道を管理する佐賀県、伐採の事務を担う唐津市に損害賠償の支払いを求める訴えを起こしています。

裁判で国や県、市は争う姿勢を示しています。

明日香さんはNHKの取材に対し「これまでの対策に意味がなかったのではないか。今回はたまたま大きな事故に至らなかったが、けがした人や亡くなった人がいたら、国や県、市はどうするつもりだったのか。あまりにも命を軽視しているように思える。真剣に対策を考えてほしい」と話していました。