オスプレイ配備 井野防衛副大臣が佐賀県訪問 6月工事着手へ

陸上自衛隊の輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画をめぐり、防衛省の井野副大臣は19日、佐賀県を訪れ、漁協との間で土地の売買契約を締結したことを受けて来月上旬をめどに、駐屯地の整備に向けた工事に着手する考えを示しました。

防衛省の井野副大臣は午前中、駐屯地の建設予定地の名義を持つ県有明海漁協を訪問し、幹部と会談しました。

冒頭で井野副大臣は「土地の売買契約を結んでいただき、感謝申し上げます。排水対策や地域振興という形で地域の皆さんと協力関係を深めていく」と述べて、18日、防衛省と県有明海漁協との間で土地の売買契約が締結されたことに謝意を述べました。

これに対し、県有明海漁協の西久保敏組合長は会談のあと、「組合員がいちばん心配している排水問題などにしっかり取り組んでほしいと強く要望した。それに対して、副大臣は『ちゃんとします』と答えた。漁業者の思いがあったのでこれだけ長引いたので、ちゃんとしてもらわなければ大変なことになる」と述べました。

このあと、井野副大臣は県庁を訪れ、山口知事と会談しました。

この中で山口知事が「駐屯地の整備は大規模な工事になると聞いているが、周辺の環境に及ぼす影響についてはしっかり関心を持っていく」と述べ、騒音や排水などへの懸念に配慮するよう求めたのに対し、井野副大臣は「地元の皆さんとの信頼関係がなければ基地の運営が立ちゆかなくなるので、地元の皆さんからの協力が得られるよう努力していきたい」と述べました。

井野副大臣は訪問のあと記者団に対し、「用地取得ができたので、6月上旬をめどに現場での作業に着手する計画だ」と述べて、来月上旬から工事を始める考えを示しました。

新たな駐屯地に配備される予定のオスプレイは現在、千葉県木更津市に2025年夏までの期限付きで暫定配備されていて、防衛省としてはこの期日に向けて工事を進めたい考えです。

一方、地元では漁業者を中心に環境への影響に懸念する声もあり、県や佐賀市、漁協はこうした問題について、防衛省との間で協議を続いていく方針です。

【井野副大臣 佐賀市役所訪問】
防衛省の井野副大臣は午後、配備計画の立地自治体の佐賀市役所を訪れ、県有明海漁協との間で駐屯地の建設用地の取得に向けて売買契約を締結したことを報告しました。

そして「駐屯地の設置や運用に関する市民の不安や懸念を解消し、地域の発展につなげていくよう対応する」と述べ、佐賀市に協力を要請しました。

これに対し、池田副市長は「漁協の重い判断だったと受け止めている」と述べました。

そして、駐屯地の周辺地域で排水対策など生活環境の整備が必要になるとしたうえで、佐賀市を国からの交付金が受けられる「特定防衛施設関連市町村」に指定するよう求めました。

訪問のあと、取材に応じた池田副市長は「井野副大臣から『情報共有の場を設けたい』という話があった。特定防衛施設関連市町村への指定に向けた進捗(しんちょく)状況についても情報共有がされると思っている」と述べました。