春闘が事実上スタート 「SUMCO」平均6%程度の賃上げへ

記録的な物価の上昇が続き、賃上げが課題となる中、23日「経団連」と「連合」のトップ会談が行われ、ことしの春闘が事実上、スタートしました。
こうした中、伊万里市に工場がある半導体素材メーカー大手の「SUMCO」は平均で6%程度の賃上げを行う方針を明らかにしました。
半導体素材メーカー大手の「SUMCO」は年齢ごとにばらつきはあるものの、国内の6000人余りの社員を対象に、定期昇給を含めて平均で6%程度の賃上げを行う方針で、今後、労働組合との交渉をへて、正式に決定するということです。
賃上げの背景には、生産現場の効率化による収益力の向上があるとしています。
半導体に欠かせない素材、シリコンウエハーを生産する伊万里市の工場では、生産設備の稼働状況のデータをAI=人工知能がリアルタイムで解析し、わずかな不調でも見つけ出して最適な稼働率を保てる取り組みを行っているということです。
AIは、工場内での製品の運搬経路や生産工程の効率化にも役立てられ、こうした取り組みで年間で40億円以上の利益を生み出す効果があるとしています。
また会社では、この春入社する新入社員の初任給も10%余り引き上げる方針で、初任給としてはこれまでで最大の上げ幅だということです。
今回の賃上げについて、SUMCOの橋本眞幸会長兼CEOは「ここにきて急に物価が上がってきたので、従業員の生活を何とかしなければならないと考えている。AIによって生産性が向上したので、従業員に報いたい」と話しています。