米原で土砂崩れ 周辺127世帯に「緊急安全確保」避難続く

1日午前、滋賀県米原市で山の斜面が崩れて住宅に土砂が流れこみました。
けがをした人はいないということですが、市は周辺の127世帯、313人に「緊急安全確保」を出し、現在も住民が避難を続けています。

警察によりますと、1日午前10時ごろ米原市伊吹の県道沿いにある山の斜面が崩れ、確認できた範囲で少なくとも住宅1棟に土砂が流れこみました。
今のところけがをした人や連絡が取れていない人はいないということですが、まだ被害の詳細を確認できていない建物があるということで、警察と消防が確認を進めています。
これを受けて米原市は災害対策本部を設置し、午前11時に米原市伊吹自治会の127世帯、313人に「緊急安全確保」を出しました。
警戒レベルが最も高いレベル5で、近くの建物や自宅の2階以上、斜面から離れた場所など周囲の状況を確認し、少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動を取るよう呼びかけています。
市によりますと住民ははじめに現場近くに開設された一時避難所の「伊吹生活改善センター」に避難していましたが、午後3時ごろまでに今後の雨に備えてより安全な場所にある広域避難所「伊吹小学校」に市の手配した車で移動しました。
避難所には、1日午後7時の時点で43人が避難を続けていて、簡易ベッドや食料の準備が進められ、今のところ「緊急安全確保」の解除のメドはたっていないということです。
市によりますと土砂崩れがあった現場周辺は土石流などの危険性があるとして「土砂災害警戒区域」に指定されています。

【住民は】
米原市伊吹の土砂崩れで、自宅に土砂が流れ込んだ石河輝男さん(52)は、職場の米原市役所に出勤した後、父親から、自宅に土砂が流れ込んだと連絡があり、急いで自宅に帰ったということです。
石河さんが午前10時半ごろ撮影した映像には、自宅の周辺に大量の土砂が流れ込んでいるのが映っています。
映像では自宅の裏山から茶色く濁った水が流れ続けていて、自宅のリビングに入り込んでたまったどろ水が勢いよく外に出ている様子などが確認できます。
石河さんは「午前9時40分ごろ、同居している父親からものすごい勢いで土砂が来ていると連絡がありました。慌てて家に帰ると、山から流れ込んできた土砂が家のトイレの窓を突き破って入ってきていました。50年近くこの地域に住んでいますが、家が潰れてしまうほどのこんな被害は初めてです。このあとも自宅に住み続けられるのかが非常に不安です」と話していました。
また、一時避難所に避難していた輝男さんの母親の千代子さんは、「朝家にいたら、ヘリコプターが飛んでいるようなものすごい音がして、家の縁側から見たら水が川みたいになって大きな木とともに流れてきました。家の中にも水が入ってきてベッドも流されたし台所も水浸しです。こちらに嫁いでからこんなことは初めてなのでとても怖かったです」と話していました。

【避難所では】
広域避難所になっている伊吹小学校には、午後4時半の時点で住民たち40人あまりが避難してきています。
孫と娘と避難してきた石河陽子さん(85)は、「私の家には水は入ってきませんでしたが、とにかく避難しなさいということだったので、この避難所まで出てきました。道路では、水がゴーっという音を立てていて、3メートルくらいの木が流されているのを見ました。夜は避難所で過ごすと聞きましたが、初めての経験なので今夜は眠れないと思います」と話していました。
また、病気のため酸素ボンベをもって避難した奥野勝さん(86)は、「私の家は、土砂の流れた場所から500メートルくらい離れていたので被害はありませんでしたが、体の調子がよくないので迷惑をかけないように早め、早めにと思って避難してきました」と話していました。
勝さんの妻の里美さん(80)は、「自分の家は被害にあっていませんが雨がやむか分からないので、避難所で過ごすのは家にいるよりは安心です」と話していました。