再審無罪の女性 賠償求める訴訟で当時の取り調べ状況を証言

21年前、東近江市の病院で患者が死亡したことをめぐり、再審=やり直しの裁判で無罪が確定した女性が国などに賠償を求めている民事裁判で、27日、女性みずからが証人として出廷し、当時の取り調べの状況について証言しました。

東近江市の湖東記念病院の看護助手だった西山美香さん(44)は、2003年(平成15年)に入院患者が死亡したことをめぐり、殺人の罪で服役したあと、4年前の2020年にやり直しの裁判で無罪が確定し、不当な捜査で長期間拘束されたとして、国と滋賀県に賠償を求める訴えを大津地方裁判所に起こしています。
27日は、西山さん本人への証人尋問が行われ、弁護士から当時の取り調べの状況について尋ねられると、「担当の警察官が亡くなった患者の写真を何枚も並べ、私の首の後ろをもって“お前は責任を感じないのか”と言ってくるなど怖い取り調べを受けた」と述べました。
また、賠償を求める訴えを起こした理由について尋ねられると、「裁判を通して取り調べの違法性などを知ってもらいたいと思い、訴えを起こした」と声を詰まらせながら答えていました。
この裁判では先月(5月)、西山さんの取り調べを担当した警察官への証人尋問も行われていて、警察官は、西山さんはみずから殺害を認める供述を始めていて、供述を誘導したことはないなどと述べています。
27日の裁判のあと、西山さんの弁護団が会見を開き、「西山さんは今でも苦しんでいて、再審無罪になっても解決ではなく、えん罪の悲劇は続いていると感じた」と述べました。