近江八幡 中世の山寺につながる道路遺構見つかる

近江八幡市にある戦国時代の山寺の遺跡で、排水のためとみられる側溝など複雑な構造をした道路の遺構が見つかり、専門家は「中世の山寺に生活していた人々の暮らしを知る上で貴重な発見だ」としています。

道路の遺構が見つかったのは、戦国時代の天台宗の寺院、阿弥陀寺の遺跡がある近江八幡市の山林です。
この一帯は砂防ダムの建設工事に伴って、滋賀県文化財保護協会が令和4年度から発掘調査を行っています。
昨年度の調査で戦国時代に築かれたとみられる石垣が見つかりましたが、その後の調査で、寺の重要な施設があったとみられる山頂とふもとを結ぶ道路の遺構が見つかったということです。
遺構は長さがおよそ26メートル、幅がおよそ4メートルあり、傾斜のある道を歩く石段のほか、両脇には排水のためとみられる側溝が設けられています。
溝の幅を一部広げそこに石を並べて水をためる「水場」を作ったり、道路自体の幅を広げるために溝に大小の石を積んで水の流れを確保したりするなど当時の土木技術がうかがえるということです。
県文化財保護協会の阿刀弘史主幹は「中世の山寺に生活していた人々の暮らしを知る上で貴重な発見だ。石を扱う高い技術を持った人たちが住んでいたことが想像される」と話しています。
県文化財保護協会は、来月(6月)2日に近江八幡市島町で現地説明会を開く予定で、事前の申し込みは不要だということです。