びわ湖のアユにも塩分耐性 海でも生きられると判明

海では生きられないと考えられていたびわ湖のアユについて東京大学などの研究チームが詳しく調べた結果、びわ湖のアユにも塩分耐性があり、条件によっては海でも生きられることが分かりました。

一般的なアユは、川で生まれたあと海に下り、その後再び川に戻って成長しますが、びわ湖のアユは10万年ほど前から独自の進化を遂げ、びわ湖と川の間を回遊し、海には下らなくなりました。
びわ湖のアユは全国の川で放流されていますが、その卵からふ化した稚魚は、海に下ったあと再び川で確認できないことから、びわ湖のアユには塩分耐性がなく、海で死んでしまうなどと考えられていました。
東京大学などでつくる研究チームがこのびわ湖のアユと一般的なアユの塩分耐性を比較しようと、それぞれのアユを淡水から海水の水槽に段階的に移す実験を1週間かけて行った結果、びわ湖のアユは海水に順応するまでより時間がかかったものの、一般的なアユと同様に塩分への耐性が認められたということです。
また、びわ湖のアユの体内にも、海水の塩分濃度への耐性があることを示す「塩類細胞」がふ化する前の卵の段階から確認できたということです。
一方で、びわ湖のアユは、高い水温に弱く、産卵時期も9月ごろからと比較的早いことから、研究チームは、海で生きられないのは塩分耐性が原因ではなく、水温が高い時期にふ化して海に下るためではないかとみてさらに調べています。
調査を行った東京大学農学部の井ノ口繭助教は「びわ湖のアユも海水で生きられることが分かった。ただ、水温が上がると死ぬ確率が上がるので、海水温がより低い時期に産卵させれば、全国の河川でも生き残る可能性がある」と話していました。