本屋大賞受賞 小説の舞台となった大津市でも喜びの声

小説の主人公、「成瀬あかり」の自宅の最寄り駅として小説に登場する大津市のJR膳所駅には、今月(4月)1日からびわ湖大津観光協会が、▼「成瀬あかり」やびわ湖を巡る観光船「ミシガン」のイラストとともに、▼小説に登場する「膳所から世界へ」というセリフをもじった「世界から膳所へ」という観光客を呼び込むことばが書かれたPR看板が設置されています。
10日は「本屋大賞」発表の1時間ほど前から観光協会の職員や地元のファン数人が駅に集まり、午後2時すぎに受賞の知らせが入ると歓声をあげて喜んでいました。
そして、関係者が「祝 本屋大賞受賞」と書かれた花飾りの装飾を看板に取りつけました。
30代の女性ファンは「率直にうれしいです。小説で地元の住民が誇りを持てるような魅力を取り上げてもらい、希望の光をもらえました」と話していました。
びわ湖大津観光協会では、小説の舞台を巡る催しを夏ごろに企画するなどして、大津市の観光振興にもつなげたいとしています。
観光協会の坪田朋也さんは、「たくさんの人に小説を読んでもらい、実際に大津を訪れて小説の世界観を楽しんでほしい」と話していました。

【大津ではすでに盛り上がり】
作品の舞台となった大津市では、すでに大きな盛り上がりをみせています。
滋賀県などは今月から、大津市内の店や駅など作品にゆかりのスポットを巡るとデジタル地域通貨の「ビワコ」がたまるデジタルスタンプラリーを始めました。
13か所すべてをまわると、記念のクリアファイルがもらえます。
参加した親子連れは「作品の中に地元のことがたくさん出ていて、まちを歩くと主人公の成瀬がいそうな感じがしてきました」と話していました。
また、受賞作の続編で成瀬のアルバイト先のモデルとなった店では、お客様の声ならぬ、「読者の声」として本の感想などを店内に掲示する取り組みを行っています。
平和堂営業企画部の橘淳子さんは「成瀬が大津や滋賀を盛り上げてくれることを期待しています」と話していました。

【大津市内の書店では】
小説の舞台の一つ、「西武大津店」の跡地近くの商業施設に入る書店では、「成瀬は天下を取りにいく」が出版された去年(2023年)3月から特設コーナーを設けていて、10日は午後2時すぎに受賞が発表されると、さっそく店員が「本屋大賞受賞」の帯がまかれた本を並べていました。
この書店によりますと、「成瀬は天下を取りにいく」はことし1月までに小説としては異例の売れ行きとなるおよそ1000冊が売れていて、今回の受賞によって買い求める人が増えることを見込んで、新たに600冊あまりを入荷したということです。
またこの書店では、宮島さんを招きサイン会を開いたこともあり、店内には宮島さんのサインが入った主人公のパネルや、「西武大津店閉店のショックから立ち直れていない皆さん!私もです!」と書かれた直筆の色紙が飾られています。
書店員の八原敦子さんは「地元の書店としてずっと作品を応援してきたのでうれしいです。宮島さんはユーモアのある方で、サイン会では一部の本に『当たり』と書き込んでいました。滋賀県への愛にあふれる主人公が登場するので、ぜひ多くの人に読んでほしいです」と話していました。