本屋大賞に大津在住の宮島未奈さん「成瀬は天下を取りにいく」

全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票で選ぶことし(2024年)の「本屋大賞」に、大津市在住の宮島未奈さんのデビュー小説で、女子中学生が主人公の「成瀬は天下を取りにいく」が選ばれました。

ことしで21回目となる「本屋大賞」は、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票によって選ぶ賞で、過去に受賞した作品の多くがベストセラーとなり、映画やテレビドラマにもなるなど影響力の大きい賞として注目されています。
10日、ことしの授賞式が都内で開かれ、ノミネートされた10作品の中から、宮島未奈さんの小説、「成瀬は天下を取りにいく」が選ばれました。

「成瀬は天下を取りにいく」は、大津市を舞台にした6つの短編からなる青春小説です。
舞台の一つが、4年前(2020年)に閉店した「西武大津店」です。
コロナ禍のさなか、閉店をひかえる西武大津店に通って、テレビの中継に映ろうとする主人公の成瀬あかり。
その成瀬と、地元の人たちの間にさまざまな交流がうまれていきます。
ほかにも、びわ湖の観光船「ミシガン」や、膳所高校なども登場し、わが道を突き進む成瀬の姿がユーモラスに描かれています。

作者の宮島さんは静岡県富士市出身の40歳。
京都大学を卒業後、地元の静岡で就職し、結婚を機に大津市に移り住みました。
30代半ばから小説の新人賞などに応募を始め、3年前、今回の受賞作にも含まれている短編が文学賞を受賞し、去年(2023年)3月に「成瀬は天下を取りにいく」が書籍化されてデビューしました。
作品はこれまでに41万部を超えるヒットとなり、ことし1月には大学生になった成瀬の活躍などを描いた続編も刊行されています。

宮島さんは、作中で成瀬が結成するお笑いコンビにちなんだユニフォームを着て登壇し、「本屋大賞をきっかけにますます多くの皆さんに成瀬と出会っていただくのが楽しみですし、受賞作家の看板を背負っていくと思うと身が引き締まる思いです。コロナ禍に小説家人生がスタートした私がこうして多くの皆さんにお祝いしていただけるのは感無量で、このようなことになるとは想像していませんでした。これからの1年間も今の私には想像できないことがたくさん起こると思いますが、成瀬と一緒ならきっと大丈夫です。ありがとうございました」と喜びを語りました。
デビュー作での本屋大賞はこれまでに、▼2009年の湊かなえさんの「告白」、▼おととし(2022年)の逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」が受賞していて、宮島さんは3人目です。