所在不明の西郷隆盛の直筆書簡 県に寄託の文化財から見つかる

滋賀県に寄託された文化財に、明治維新で大きな役割を果たした西郷隆盛の直筆の書簡が含まれていたことが、県の調査でわかりました。
この書簡は長らく所在がわからなかったもので、県の担当者は当時の国内の政治情勢などを伝える貴重なものだとしています。

これは、22日に滋賀県が会見で明らかにしました。
書簡は、去年、大津市の男性が県に寄託した文化財に含まれていて、専門家の調査で西郷の直筆と確認されたということです。
書簡は長さが4メートル70センチあまりで、明治5年に西郷が、同じ薩摩出身で明治政府が欧米に派遣した使節団の一員としてアメリカに滞在中の大久保利通にあてて書いたものです。
当時、日本国内では西日本を中心に急激な改革に不満を抱く士族の動向が心配されていて、書簡の中で西郷は「佐賀は動揺しているがそれ以外の九州は問題ない」などと情勢を伝えているということです。
また、大久保が自分の写真を送ってきたことについて、「醜体」とか「2度と撮影するな」と書いていて、写真が嫌いだったとされる西郷の人柄がしのばれるということです。
この書簡は、昭和初期に出版された西郷の書簡を集めた本にも掲載されていましたが、その後、長らく所在がわからなくなっていたもので、書簡を入れた箱からは、西郷の弟の従道が書いた隆盛の直筆で間違いないとする鑑定書などもあわせて見つかったということです。
調査にあたった滋賀県立琵琶湖文化館の井上優副館長は「日本近代史の一級資料だ。写真をめぐるやりとりについては、西郷と大久保の仲の良さがうかがえるくだけたもので、興味深い」と話しています。