東近江 小椋市長 不登校対策に力入れる考え 市議会で表明

東近江市の小椋正清市長は、26日開会した定例市議会で、新年度の重点項目の1つとして不登校対策を挙げ、力を入れていく考えを示しました。

東近江市の3月の定例市議会は、26日開会し、一般会計の総額で547億円の新年度の当初予算案などが提出されました。
この中で小椋市長は、「不登校傾向にある児童生徒の早期発見と居場所作り、孤立しがちな保護者とのつながり作りなどを目的とした『校内教育支援センター』を設置し、不登校になる前の早期対策に取り組んでいく」などと述べ、新年度の重点項目の1つとして不登校対策に力を入れていく考えを示しました。
予算案では新規事業として、▼市内の16の小中学校に教員免許を持つ市の職員などが常駐して教室に入りづらい児童や生徒からの相談を受ける「校内教育支援センター」を設置する経費として5800万円が、▼学校に行けない児童や生徒を支援するため、フリースクールを利用する家庭に補助金を支給する事業に300万円が盛り込まれています。
不登校対策をめぐって小椋市長は、去年、県の開いた会議で「文部科学省がフリースクールの存在を認めたことにがく然としている」などと発言し、県内のフリースクールなどで作る協議会から発言の撤回を求められ、その後、謝罪していました。
東近江市の3月定例市議会は、来月25日まで開かれ、最終日に議案の採決が行われます。

【フリースクール支援の動き広がる】
各自治体で新年度の当初予算案がまとまる中、NHKが県内すべての自治体にフリースクールを利用する家庭への金銭的な支援について取材したところ、今年度の6市町に加えて新たに3つの市が支援を行う予定であることがわかりました。
県内では支援の動きが少しずつ広がっています。

NHKは県内19のすべての自治体を対象に、フリースクールを利用する家庭への金銭的な支援を行う経費を新年度当初予算案に計上しているか尋ねました。
その結果、今年度(令和5年度)すでに支援をしている▼草津市、▼甲賀市、▼近江八幡市、▼彦根市、▼米原市、▼日野町の6市町に加えて、新たに▽東近江市、▽守山市、▽湖南市の3つの市が支援を行う予定であることが分かりました。
このうち▽湖南市は1人当たり月に4万円を上限としてフリースクールの利用料の半額を補助する事業として75万円を、▽東近江市と▽守山市は1人当たりの補助額などは決まっていませんが、それぞれ300万円と192万円を予算案に盛り込んでいます。
さらに▼近江八幡市は、市内の児童生徒を複数受け入れていることなど、一定の要件を満たすフリースクールの運営を支援する費用として600万円を盛り込んでいて、県によりますと、フリースクールの運営事業者への支援は県内で初めてだということです。
このほか県もフリースクールなどを利用する子どもの保護者にアンケート調査を行い、市や町を通じて月々5000円を支給する新たな事業に2000万円余りを計上していて、支援の動きが少しずつ広がっています。

【フリースクール代表は】
東近江市の小椋正清市長の発言に対して、発言の撤回などを求める署名活動をしていた近江八幡市のフリースクールの代表は、「市長の発言によって議論が活発になっていると感じる。ひとまず不登校で悩む子どもや保護者に寄り添う姿勢を示していただけたと感じる」と話しています。

近江八幡市などでフリースクールを運営しているNPO法人「Since」の麻生知宏 代表理事は、去年、東近江市長の発言に対して発言の撤回などを求める署名活動を行い、市におよそ3万6000人分の署名を提出しました。
東近江市が新年度、フリースクールを利用する家庭に補助金を支給する方針については「あの発言を振り返ると、社会全体が不登校について考えるきっかけになったと思う。東近江市が大きく理解しようという姿勢を見せてくれたのかなと思う」と話しています。
また、近江八幡市が県内で初めてフリースクールの運営を支援する費用を予算案に盛り込んだことについては、「質の高い学びの場を提供するために運営や資金繰りが厳しい団体が多数あり、大変ありがたい。私たちもスタッフの人件費を抑えて運営しているのが実情なので、行政からの支援は継続してこの場を提供するためにも価値がある」としています。
県内でフリースクールを利用する家庭への支援が広がっていることについては、「市長の発言によって議論が活発になっていると捉えている。ひとまず不登校で悩む子どもや保護者に行政が寄り添う姿勢を示していただけたと感じるが、これで終わるのではなく、行政や現場の僕たちに何が出来るかを考えて話し合っていく必要がある」と話しています。