偽装請負“実行行為を職員に強要” 大津市に賠償を命じる判決

大津市の職員が、上司から偽装請負の実行行為を強要されたなどとして、市に対し損害賠償を求めていた裁判で、大津地方裁判所は職員の訴えを一部認め、市に22万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

この裁判は、50代の大津市の女性職員が、教育委員会に配属されていた平成30年、人権・生涯学習の推進事業をめぐり、業務委託先の職員に業務の指示をするよう上司から命じられたのは、偽装請負の強要であり、その違法性を指摘したところ人事評価を下げられたり異動を命じられたりしたとして、市に対し110万円の損害賠償を求めていたものです。
2日の判決で、大津地方裁判所の池田聡介裁判長は、委託先の職員に直接、指揮命令を行うことは、偽装請負の実行行為にあたり、違法なものだと指摘しました。
その上で、上司の命令について「違法行為の実行を、職務上の優位性を背景に命令するもので、ハラスメントにあたる」などと述べ、訴えを起こした職員への慰謝料などとして、大津市に対し22万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
一方、人事評価などについては違法性を認めませんでした。
訴えを起こした職員の弁護士は「自治体が業務を委託することが増えている中で、今回の裁判所の判断には大きな意義がある」と話していました。
大津市教育委員会は「今後の対応については判決の内容を精査した上で検討して参りたい」とコメントしています。