日野町事件 検察の特別抗告の具体的な主張内容が判明

39年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で、大阪高等裁判所は再審=裁判のやり直しを認めていますが、その取り消しを求めて特別抗告している検察の具体的な主張が明らかになりました。
「アリバイに関する関係者の証人尋問が実施されていない」などと主張していることが関係者への取材でわかりました。
これに対し弁護団は「裁判の引き延ばしとしか考えられない」と反論しています。

昭和59年12月、日野町で酒店を経営していた女性が殺害され、金庫が奪われた事件では、阪原弘さんが強盗殺人の罪で、無期懲役が確定しましたが、阪原さんは無実を訴え続け、服役中に75歳で亡くなりました。
大阪高等裁判所はことし2月、「本人のアリバイ主張に沿う関係者の新たな証言が提出された」などとして、無罪を言い渡すべきことが明らかな新たな証拠だと判断し、再審=裁判のやり直しを認める決定を出しました。
これについて大阪高等検察庁は決定の取り消しを求めて最高裁判所に特別抗告していますが、検察の具体的な主張が明らかになりました。
関係者によりますと、「アリバイについて関係者の証人尋問が実施されておらず、新たな証言を慎重に吟味した形跡は全くない」などと主張し、「判例に違反する誤った判断だ」としているということです。
これに対して弁護団は「弁護側が証人尋問を請求したのに検察が反対し、みずから証言を吟味する機会を放棄した経緯がある」などとする意見書を最高裁に提出しています。
伊賀興一弁護団長は「検察の特別抗告は、無期懲役の判決が揺るがないという主張がどこにもなく、裁判の引き延ばしとしか考えられない行為だ。1日も早く、再審開始の決定と無罪を勝ち取りたい」と話しています。