びわ湖の水位低下の影響とこれまでの水位の変化

【カヤックの体験学習にも影響】
カヤックなどの水上スポーツが体験できる大津市の施設では、びわ湖の水位が低下したことで学習内容に影響が出ています。
大津市雄琴にある水上スポーツの体験学習施設では子どもたちなどを対象にカヤックなどの体験教室を開いています。
びわ湖の水位が下がったことで施設に面した湖岸の浜が10メートルほど広がり、これまでに比べてカヤックがこぎ出しづらくなっているということです。
5日も市内の中学生2人が体験に訪れていましたが、講師から水深が浅くなっているため、最初は深くこがないよう指示を受けていました。
また、水深が浅くなったため、ふだんなら案内する湖岸のヨシ帯に近づけなくなり、体験ルートも変更しているということです。
体験学習施設の中岡靖雄マネージャーは「水位低下でふだんは水の下で見えないゴミも見えるようになり、環境問題に気づくきっかけにもなると思う」と話していました。

【水位の低下と取水制限】
ことし8月に近畿地方を縦断した台風7号のあと、びわ湖の水位はプラスマイナス0となっていました。
しかしその後、台風の接近がないなどまとまった雨がなく、9月と10月をあわせた降水量は彦根市で139ミリと平年の半分以下、大津市で216ミリと平年の3分の2程度となっていました。
このためびわ湖の水位は徐々に下がり始め、9月下旬にマイナス30センチ程度だった水位は、10月下旬にはマイナス50センチ、11月下旬にはマイナス65センチまで下がりました。
下流の瀬田川洗堰で、びわ湖から流れ出る水を調整している国土交通省琵琶湖河川事務所では、多いときには毎秒数百トンになることもある水の量を9月以降、毎秒15トンから25トンに抑えています。
下流の大阪や京都で必要となる水の量をまかなうため、必要最低限の水の量だということです。
琵琶湖河川事務所では「関係機関と調整しながら放流量を最低限に抑え、引き続きびわ湖の水位低下抑制に努めていきたい」としています。
滋賀県では今後、水位がマイナス75センチまで低下した場合は「渇水対策本部」を設置し、節水の呼びかけなどを行うことにしています。
さらに、マイナス90センチまで低下した場合は、国が滋賀県や大阪府、京都府などの流域府県とともに取水制限を検討することになっています。
2021年以来、2年ぶりの低水準が続くことが予想されることから、今後も状況を見守る必要がありそうです。

【過去の水位低下で影響は】
びわ湖では過去の水位低下の際には市民生活への影響も出ています。
雨不足で渇水に見舞われた1994年には、水位は過去最大のマイナス1メートル23センチに達しました。
下流域では10パーセントから20パーセントの取水制限が行われ、高台にある住宅などで水が出にくくなったり、学校のプールが使えなくなったりするなど、市民生活にも影響が出ました。

【水位0メートルとは】
滋賀県によりますと、「びわ湖の水位」として示されている水位はびわ湖の南側にある観測所の高さを「水位0メートル」として、湖内の5つの水位観測所の値を平均した数値で、水位1センチ分の水の量はおよそ68億リットルだということです。
びわ湖は大阪湾へ流れる川の上流にあるため、この「水位0メートル」の高さは川の下流から見ると、大阪城の天守閣までとほぼ同じ高さだということです。
また、この「水位0メートル」の高さは明治時代に観測所が設置された際に「これ以上下がることがない」と判断された水位ではないかとも言われているということです。