“動脈硬化進行と腸内の一部の乳酸菌増加に関連” 滋賀医科大

日本人の男性は、心臓の動脈硬化が進むにつれて腸内の乳酸菌のグループの割合が増えていくことが滋賀医科大学の研究で分かりました。
今後、便を調べることで、心筋梗塞など病気のリスクが分かるようになることが期待されます。

大津市の滋賀医科大学の研究班は、草津市に住む46歳から83歳までの男性、663人を対象に、心臓の動脈硬化の進み具合で4段階に分け、腸内細菌を調べました。
このうち乳酸菌が含まれている「ファーミキューテス」というグループの腸内細菌に占める割合は、▼健康な人は52.1パーセントでしたが、▼心筋梗塞や狭心症といった心臓病の患者では56.5パーセントと、健康な人に比べて4.4ポイント多く、動脈硬化が進むにつれて増加していることが分かりました。
研究班によりますと、このグループの中の乳酸菌の一部が動脈硬化の進行に強く関連しているということで、乳酸菌は一般的には「善玉菌」として知られていますが、必ずしもすべてが「善玉菌」ではない可能性が示されたということです。
今後、心筋梗塞が発症する前の段階から便を調べて腸内細菌の割合を見ることで、病気の進み具合を示す指標となることが期待できるということです。
調査を行った滋賀医科大学のNCD疫学研究センターの岡見雪子特任助教は、「乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品などが悪いわけではなく、数多くある乳酸菌の中には体に悪いような菌も含まれていることが分かった。一方で、動脈硬化に関係している菌は特定できておらず、今後も研究を続けていきたい」と話していました。