伊吹山に生息する国の天然記念物イヌワシ 2羽のひな巣立たず

滋賀県米原市の伊吹山に生息している国の天然記念物イヌワシのつがいが、春から育てていた2羽のひなが7月までにいずれも死んだことがわかりました。

米原市は、伊吹山のイヌワシを40年以上見守り続けている地元の写真家、須藤一成さんの協力を得て、須藤さんがイヌワシの巣に設置したライブカメラの映像をことし3月から市役所などで公開しました。
須藤さんなどによりますと、4月中旬までに2羽のひなが誕生し、メスがエサを与える様子などが映像で確認されていましたが、4月下旬に1羽のひなが死んだのに続いて、7月30日にはもう1羽も死んでいるのが確認されたということです。
親鳥がエサを運んでくる回数が少なかったことなどから、ひなの衰弱が進み、7月27日には希少種を保護する目的で、生き残っていた1羽に補助的にエサを与えたものの、食べたものを消化できないほど弱っていたということです。
ひなを見守ってきた須藤さんは「巣立つまで育たなかったのは残念だ。温暖化の影響で、エサになる小動物が表に出て来なくなっている影響もあるのではないかと思う。野生動物と人間がともに暮らせる環境を作っていく必要がある」と話しています。