稲部遺跡で出土の繊維片は古墳時代初期の武具の一部か 彦根

彦根市にある弥生時代から古墳時代にかけての大規模な集落遺跡「稲部遺跡」から見つかった繊維の断片を詳しく調べた結果、古墳時代初期にあたるおよそ1800年前の「靫(ゆき)」と呼ばれる武具の一部だったことがわかりました。

これは、28日、彦根市が記者会見して明らかにしました。
彦根市にある「稲部遺跡」は、およそ1800年前の3世紀前後の大規模な集落遺跡で、4年前、居住区域の近くの溝から、漆で塗られた繊維の断片が12点見つかりました。
彦根市と奈良市の研究機関が詳しく調べた結果、この繊維の断片は、矢を入れて背中に背負う「靫」と呼ばれる箱状の武具に巻かれた帯の一部だったことがわかったということです。
帯は、絹の糸と植物の繊維が使われていたほか、「あや織り」と呼ばれるデニム生地などに見られる織り方で編まれていて、漆を塗って強度を高めていたと考えられるということです。
彦根市文化財課の戸塚洋輔さんは、「靫としてはこれまで国内で見つかっているものの中でも最も古いものの1つで、古墳時代初頭の社会や織物の技術を知る上で重要な資料だ」と話しています。