病床満杯の病院も 「年末年始のひっ迫避けられず」と危機感
新型コロナの感染拡大で、県内の病床使用率が連日8割を超えるなか、患者の診療にあたっている大津市民病院の医師は、「病床はすでに満杯で、年末年始のひっ迫は避けられない」と危機感を表しました。
県内の病床使用率は、今月(12月)に入って大幅に悪化し、特に今月中旬からは70%から80%で推移していて、ことし8月の第7波のピークと同様の状況となっています。
こうした状況について、大津市民病院で新型コロナ患者の診療にあたっている辻桂嗣 診療部長は、「いまのコロナは感染力が非常に強い。重症度は比較的低いものの、お年寄りの場合介護が必要な人が多いので、どうしても入院が必要になってくる。すでに予備のベッドも使用して満床になっていて、年末年始の病床のひっ迫は避けられない状況だ」と話しました。
また、県内では、12月、新型コロナに感染して亡くなった人が27日までに89人に上っていて、1か月あたりの新型コロナの死者数としては過去最も多くなっています。
これについて辻医師は、「純粋に新型コロナの症状だけで亡くなるのではなく、肺炎などの合併症や基礎疾患のある方が亡くなるケースが多い」と話しました。
高齢者に感染が広がる背景の1つとみられるのが、施設でのクラスターです。
今月、県が把握した119件のクラスターのうち、介護関連事業所が75件で全体の6割を占めています。
これについて辻医師は、「介護職員は現場で利用者のケアをする性質上、どうしても感染しやすく、さらに他の利用者のケアもするのでウイルスが拡散しやすい。接触が避けられない中で伝播してしまっているのではないか。病院でも同じことが起きていてなかなか避けられない」と話しました。
そして、これからの年末年始に向けて辻医師は、「大津市在住の患者でも、空いている病床がなければ県北部の病院に入院するケースも出てくると思う。とにかくこの年末年始は、今までやってきた感染対策をしっかりやっていただきたい」と呼びかけました。