野鳥の「中継地」夢洲の湿地 万博工事で保全課題に

春を迎え、この時期、関西各地で渡り鳥がみられます。大阪・関西万博の会場となる夢洲にある湿地も中継地のひとつとなっていて、貴重な鳥が集まる湿地をどう保全していくかも課題となっています。

夢洲はしゅんせつ土で埋め立てた人工島で、造成の過程でできた湿地は、さまざまな渡り鳥の中継地となっていて府は、生物多様性が特に高い地域に指定しています。
先月(2月)下旬に行われた市民団体の定期調査では、環境省のレッドリストで絶滅のおそれがあるとされる▼シロチドリや▼ツクシガモなどあわせて121羽が確認されました。
調査した日本野鳥の会大阪支部長の納家仁さんは「野鳥の数はすごく少なくなっている。ツクシガモは50羽ほどだがかつて多いときには200羽とか300羽とか、もっとたくさんいました」と話しました。
万博に伴う工事で、2022年度には46ヘクタールあった湿地は、現在、数ヘクタールほどに減っています。
大阪市立自然史博物館の和田岳・主任学芸員は「中継地が失われると、シギやチドリ類がさらに減る可能性がある。夢洲が最後の砦となっている」と話します。
この場所は万博が終わった後、埋め立てられる予定で大阪港湾局では、水辺環境の保全方法について専門家と相談しながら検討を進めたいとしています。