辺野古移設工事 大浦湾側の海域でくいの試し打ち始める

沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、国は、来月以降、軟弱地盤のある大浦湾側で新たな護岸の整備に着手することにしています。
これに伴い、国が8日午前、くいの試し打ちを開始したことが防衛省関係者への取材で分かりました。

普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、国と県は、軟弱地盤のある大浦湾側での埋め立て工事を前に協議することになっていましたが、国は、先月、「議論は十分行われた」として、県に対し、協議の打ち切りに加え、来月1日以降、新たな護岸の整備に着手すると通知しています。

今後の工事では、埋め立て予定区域を囲む形でコンクリート製の護岸を造成し、その内側に土砂を投入することになっていて、護岸の造成には基礎部分にくいを打ち込む必要があります。

防衛省関係者によりますと、これに伴い、国は、8日午前10時から現場海域でくいの試し打ちを開始したということです。

午前11時すぎ、NHKのヘリコプターから撮影した映像では、クレーン船からくいが海中に降ろされていく様子やくいの周辺に複数の作業員がいるのが確認できました。

移設に反対する沖縄県は「工事の着手予定日が一方的に示されたことは遺憾であり、海にくいを打ち込む作業は試験ではなく、改良工事の着手だ」として試し打ちも含め、中止を求めています。

くいの試し打ちをめぐっては、国は今月4日に始める予定でしたが、トラブルが発生したため、延期していました。

【林官房長官「実施設計協議などの対象ではない」】
林官房長官は、午後の記者会見で、「くい打ち試験は、今後着手を予定している鋼管くいを用いる護岸工事に先立ち、準備をしておくものだ。護岸工事を行うものではないので、実施設計協議などの対象ではない」と述べました。

その上で、「防衛省からは7月4日に大型サンゴ類1群体に、くい打ち試験のための作業船のアンカーチェーンが接触した際に生じたと思われる傷が発見され、状況の確認などを行ったという報告を受けている。引き続き環境の保全に配慮しながら、作業を適切に進めていく」と述べました。