陸自第15旅団ホームページに旧日本軍司令官の辞世の句

沖縄を管轄する陸上自衛隊第15旅団のホームページに、沖縄戦を指揮した旧日本軍の司令官が自決する前に詠んだとされる辞世の句が掲載されていることが分かりました。

沖縄戦を指揮した第32軍の牛島満司令官は、多くの住民が命を落とすことになった「南部撤退」を決定し、79年前の6月23日、糸満市摩文仁の洞窟で自決したとされています。

陸上自衛隊第15旅団は、ホームページで旅団の沿革を紹介していて、本土復帰の際に行われた第15旅団の前身の臨時第1混成群のトップの訓示とともに、牛島司令官が自決する前に詠んだとされる辞世の句を掲載しています。

掲載を始めたのは2018年だということで、第15旅団は「第32軍を美化する内容ではなく、第32軍と第15旅団のつながりを示すものではない」と話しています。

木原防衛大臣は4日に開かれた参議院の外交防衛委員会で、「沖縄の本土復帰直後の歴史的事実として示す資料として部隊の沿革を紹介するページに記載している。情報発信の趣旨が正しく伝わるように努める必要はあると考えている」と述べました。

【専門家「自衛隊は国民を守る存在だといかに示していけるかが重要」】

沖縄戦を指揮した司令官の句を陸上自衛隊第15旅団がホームページに掲載していることについて、日本の安全保障政策に詳しい中京大学の佐道明広教授は「沖縄県民は沖縄戦で悲惨な戦闘に巻き込まれた経験から、軍隊は住民を守らないという強い意識があり、本土復帰後に配備された自衛隊に対し当初はすごく反対した。その後、自衛隊は急病患者の搬送や不発弾の処理などを地道に積み重ね、県民の信頼感を少しずつ獲得していった」と述べました。

そのうえで、佐道教授は「旧日本軍とつながることばをホームページに掲載すると、『自衛隊は旧日本軍と同じなのだろうか』という不信感を沖縄県民に改めて植え付けてしまうのではないか。重要なことは、旧日本軍とは違い、自衛隊は国民を守る存在だといかに示していけるかということで、そのためには、住民の感情に敏感になり、住民の目線というものをきちんと考えていくことがとても大事だ」と指摘しました。