辺野古訴訟 原告資格認め審理のやり直し命じる 高裁那覇支部

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設をめぐり、県による埋め立て承認の撤回を取り消した国土交通大臣の裁決を移設先周辺の住民が取り消すよう求めた裁判で、福岡高等裁判所那覇支部は原告としての資格を認めず訴えを却下した1審判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。

アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐり、県による名護市辺野古沖の埋め立て承認の撤回を国土交通大臣が取り消した裁決は違法だとして、辺野古周辺の住民4人が取り消しを求め訴えを起こしていました。

1審の那覇地方裁判所はおととし4月、「代替施設を離着陸する航空機の騒音によって健康や生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとは認められない」として、裁決の違法性をめぐる判断には踏み込むことなく原告としての資格はないとして、訴えを却下し、住民側が控訴していました。

15日の判決で、福岡高等裁判所那覇支部の三浦隆志裁判長は「住民が居住する地域が著しい被害を直接受けると想定される地域であるか否かは建設される施設の種類や規模などを考慮した上で、距離関係を中心として社会通念に照らし、合理的に判断すべきだ」と指摘しました。

その上で、住民側について「被害を直接的に受けるおそれのある者にあたるというべき」だとして原告としての資格を認め、1審の判決を取り消し、那覇地方裁判所で審理をやり直すよう命じました。

国土交通省の担当者はNHKの取材に対し「判決の詳細を聞いていないので上告するかどうかを含めノーコメントだ」としています。

午後3時、福岡高等裁判所那覇支部で三浦裁判長から一審の判決を取り消し、那覇地方裁判所に差し戻すという判決が言い渡されると、法廷内では傍聴していた人たちから驚きの声が上がり、原告の支援者の中には小さく拍手する人の姿も見られました。

裁判所の前では、判決の言い渡しが始まった直後に関係者が駆け出してきて「原告適格認める」と書かれた垂れ幕を掲げました。

このあと、原告の1人で名護市辺野古に暮らす金城武政さん(67)は「私が暮らす、平時の生活が大事だと言うことをはっきり言ってくれましたからとてもうれしく思います」と話していました。