米軍北部訓練場での戦闘想定訓練に外国軍兵士が視察目的で参加

アメリカ軍北部訓練場で、ことし3月、アメリカ海兵隊によるジャングルでの戦闘を想定した訓練プログラムにオランダ軍の兵士が視察目的で参加していたことが分かりました。
国内のアメリカ軍施設をアメリカ以外の外国の軍隊が訓練目的で使用することは日米安全保障条約で認められていませんが、今回の目的は視察だとして国は問題ないという認識を示しています。

海兵隊や外務省によりますと、ことし3月、北部訓練場でジャングルでの戦闘を想定した海兵隊の訓練プログラムにオランダ軍の兵士3人が視察目的で参加したということです。

アメリカ軍のホームページでは海兵隊員とオランダ軍の兵士がロープを使って崖を降りたり通信機器を用いて連絡を取り合ったりしたと説明されています。

日米安全保障条約では国内のアメリカ軍施設や区域をアメリカ以外の外国の軍隊が使用することは認められていませんが、政府は2016年の国会の答弁で「いかなる態様であっても日米安全保障条約で禁じられているものではなく、条約の範囲内のものであるか否かは個々の事案に即して判断されるべきものと考える」などとしています。

今回のケースについて外務省は「アメリカとオランダは視察を行い、訓練はしていない」として、問題ないという認識を示しています。

海兵隊は「オランダ軍の兵士は視察を行った。アメリカ軍の活動に第3国の兵士が参加することは日米地位協定の中で認められていて、日米安全保障条約の義務に沿ったものだ」とコメントしています。

安全保障が専門の沖縄国際大学の野添文彬准教授は「日米安全保障条約にはアメリカ以外の外国の軍隊が訓練することを明確に禁止する条文はなく、政府はさまざまな活動に参加することは一概に否定するものではないと答弁している。事実上、第3国の軍人が在日アメリカ軍基地で訓練することが可能になってしまっているのではないか」と指摘しています。