琉球王国時代の印章と押印文書 那覇市歴史博物館に寄贈される

琉球王国時代の士族が王府に提出する文書に使っていた印章と、その印章が押印された文書が、那覇市歴史博物館に寄贈されました。
博物館によりますと、王国時代の印章と文書が一対となって見つかったのは初めてだということです。

那覇市歴史博物館に寄贈されたのは、19世紀の琉球王国時代に士族が王府に提出する文書に使っていた印章と、その印章が押印された「家譜仕次」と呼ばれる家系図や一族の動静などが記された資料です。

いまの那覇市の小禄や宇栄原を国王から領地として与えられていた士族の子孫で、宮崎県都城市に住む上原久知さん(67)が寄贈しました。

上原さんの父親が沖縄戦の前に宮崎県に移り住んだことから、戦禍に巻き込まれることなく現存したとみられ、博物館によりますと、王国時代の印章はほとんど見つかっておらず、印章と文書が一対となって見つかったのは初めてだということです。

上原さんからは、このほかにも王国時代の文書が複数寄贈され、博物館は「19世紀の文書がこれほどまとまって出てきたことはあまりない」としています。

寄贈した上原さんは「ホッとしている。歴史の抜け落ちていた部分が明確になり、子や孫に伝わればうれしいです」と話していました。

那覇市歴史博物館の伊集守道主任学芸員は「沖縄戦で多くの文化財が失われた中、貴重な資料が里帰りしたことは歴史を知る上で大変貴重だ」と話しています。

博物館は、寄贈された資料の一部を来月3日からおよそ1か月間、一般公開する予定です。