辺野古沖サンゴ移植 県が取り消し求めた裁判 敗訴が確定

アメリカ軍普天間基地の移設工事をめぐり、農林水産大臣がサンゴの移植を許可するよう県に出した指示は違法な国の関与だとして県が取り消しを求めた裁判で、最高裁判所は25日付けで県の上告を退ける決定を出し、県の敗訴が確定しました。

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古沖への移設工事をめぐり、沖縄防衛局は、埋め立て予定地のうち軟弱地盤のある大浦湾側に生息するサンゴおよそ8万4000群体の移植作業を行う許可を県に申請しましたが、移設に反対する県は認めませんでした。

これを受けて水産資源の保護を所管する農林水産大臣はサンゴの移植を許可するよう「是正の指示」を出し、一方、県は去年8月「違法な国の関与だ」として指示の取り消しを求める訴えを起こしました。

この裁判で、ことし2月、福岡高等裁判所那覇支部は「『是正の指示』は適法かつ有効で、国の関与権限を乱用したものであるとは認められない」などとして訴えを退け県側が上告していました。

これについて最高裁判所第1小法廷の宮川美津子裁判長は25日付けで上告を退ける決定を出し、県の敗訴が確定しました。

これにより、県にはサンゴの移植申請を許可する義務が生じることになります。

県は、辺野古沖の地盤の改良工事をめぐり、国が反対する県に代わって工事を承認する「代執行」に向けて起こした裁判で、ことし2月に敗訴が確定したこと受けて、サンゴの移植許可申請の審査を再開していて、今後、移植の方法や移植場所の選定が妥当かなどを判断することにしています。

玉城知事は、報道各社の取材に対して、「最高裁判所には、公平・中立な判断をされることを期待していただけに、今回、司法が何ら具体的な判断も示さずに門前払いをしたことは、極めて残念だと言わざるを得ない。今回のサンゴの移植許可については審査を開始しているところであり、今回の不受理決定を踏まえて対応していく」と話していました。