うるま市の陸自訓練場整備 防衛相が計画取りやめを表明

うるま市のゴルフ場の跡地に陸上自衛隊の訓練場を新たに整備する計画をめぐり、木原防衛大臣は「住民生活との調和は不可能であると判断した」と述べ、地元の住民におわびするとともに跡地の取得を断念し、計画を取りやめる考えを表明しました。

うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画をめぐっては、周辺が住宅地であることなどから地元の住民から撤回を求める声が相次いでいました。

そして11日夕方、地元の中村市長と自民党沖縄県連の幹部が防衛省を訪れて木原防衛大臣と会談し、「地域の理解・協力が得られない中での計画は容認できない」と述べ、計画の白紙撤回を重ねて求めました。

木原大臣は、会談の中では撤回するかどうか明言しませんでしたが、11日午後6時すぎ、今後の方針について報道各社の取材に応じました。

そして「こんにちまで、省内で検討を進めた結果、さまざまな地元の意見を直接聞いて、現在の取得候補地においては住民生活との調和は不可能であると判断して、うるま市での整備計画を取りやめることにした。地元の皆様におわび申し上げます」と述べ、跡地の取得を断念し、計画を取りやめる考えを表明しました。

その上で、場所の選定や地元との調整のあり方について「地元に対する説明などは丁寧に行っていて、プロセスはきちんと踏まえていたと思う。しかし、地元の状況についての把握、そして、分析と検討が結果として不十分だった」と述べました。

また、今後の対応については「今回の整備計画は取りやめるものの、追加的な訓練の所要を満たすための取り組みは必要だ。沖縄本島で訓練場が不足することになるので、あらゆる選択肢を排除せずに検討し、適切な結論を得たい」と述べ、別の場所での整備に向けて検討を進めていく考えを示しました。

うるま市での訓練場の整備は、地元の強い反対を受けて、計画が明らかになってから3か月余りで方針転換を余儀なくされた形となりました。

【玉城知事 “計画の進め方に問題”】
沖縄県の玉城知事は、報道各社の取材に対して、「本来、国の計画であれば自治体や関係機関、それに関係する団体や地権者などに事前に丁寧に情報提供し、計画の説明があるはずだ。ただ、防衛省はいろいろな計画を隠密のうちに進めていて、非常に不信感が強い。今回の計画でも、いきなり土地を取得して訓練施設にすると言った。しかも当初の説明とあとの説明が全く内容が違い、説明になっていない説明を繰り返すことで市民や党派を超えた反感をかい、こじらせてしまった」と述べ、防衛省の計画の進め方に問題があったと指摘しました。

そのうえで、「このような計画の進め方はこれからもあってはならない。今回の計画は、住民の理解と合意が得られない計画だったということだ」と述べました。