認可外保育施設の乳児死亡事故 那覇市検証委「体制の強化を」

おととし、那覇市の認可外保育施設で生後3か月の男の子が死亡した事故で、専門家による検証委員会は指導や監督に関わる市の職員不足を解消し、実効性のある指導が行えるよう体制を強化すべきだなどとする報告書を市に提出しました。

おととし7月30日、那覇市にあった認可外保育施設で一時預かりを利用していた生後3か月の男の赤ちゃんが心肺停止の状態で病院に運ばれ、その後、亡くなりました。

事故のあと、市は学者や医師などによる検証委員会を設置し、25日、再発防止に向けた23項目の提言を盛り込んだ報告書が市側に提出されました。

それによりますと事故の起きた施設では薄暗い部屋で深さのあるベッドを使用するなど安全確認が難しかったことや職員が不足していたこと、それに事故防止マニュアルが共有されていなかったことなどの問題点を指摘しています。

その上で保育施設には安全な環境を確保し適正な職員を配置することや緊急時の対応体制の明確化などが求められるとしています。

さらに施設を指導・監督する市に対しては担当する職員が不足しているとした上で、立ち入り調査で生命と身体に関連する10項目にわたる重要な問題点が見つかったのにもかかわらず、十分かつ迅速に改善を図っていなかったとして、実効性のある指導が行えるよう体制を強化すべきだと指摘しています。

また、現場にいた園長に直接聞き取りができず事実関係の把握に問題があったことから国に対し検証委員会に法令に基づく十分な調査権限を与えるよう提言しています。

報告書を受け取った知念市長は、「二度とこのようなことが起こらないよう各保育施設の安全対策の徹底に努め、安全安心な保育環境の整備を図っていきたい」と述べました。


事故で赤ちゃんを亡くした遺族が弁護士を通じてコメントを発表しました。

遺族は「当日、何があったのかを知りたい。私たちはずっとそう望んでいました。今回の検証報告書を読ませていただいてもその望みは果たされませんでした。しかし、いくつか分かったこともあります。その意味で、ここからが始まりだと思っています。息子がもう戻ってこないことは変わりませんが、二度とこのようなことが起きないように私たちは、何があったのかを問い続けていきたいと思います」とコメントしています。