戦後初代知事の志喜屋孝信の回想録など親族が県公文書館に寄贈

戦後まもない時期に沖縄民政府の知事などを務めた志喜屋孝信の回想録などが親族から沖縄県公文書館に寄贈されました。
公文書館は歴史的に重要な記録が多く含まれるとしています。

寄贈式は18日午後、沖縄県南風原町にある沖縄県公文書館で行われ、志喜屋孝信の孫の嘉陽安昭さんが前原正人館長に目録を手渡しました。

明治17年生まれの志喜屋孝信は、いまの那覇高校にあたる県立第二中学校の校長を務めたあと、私立開南中学校を設立します。

昭和20年に、沖縄戦で開南中学校が廃校を余儀なくされたあとは、アメリカ軍による統治のもと、収容所に置かれた行政府の沖縄諮詢会の委員長や沖縄民政府の知事に任命されます。

そして、昭和25年に琉球大学の初代学長に就任するなど政治や教育の面で戦後沖縄の再建に多大な功績を残しました。

今回寄贈された資料は、諮詢会の様子をつづった日誌や収容所で発行されていたと見られる新聞、それに郷土史家から志喜屋に宛てられた手紙など375点で、公文書館によると、歴史的に重要な記録が多く含まれるということです。

これらの資料は私的なものも含むため公開されていませんでしたが、沖縄戦を含む戦前、戦中、戦後の研究に役立ててもらおうと公文書館に贈られました。

嘉陽安昭さんは「寄贈でき感慨深いものがあります。広く役立ててもらいたいと思います」と話していました。

公文書館では、データベースへの登録やプライバシー保護などの作業を済ませたあと、ことしの5月から6月をめどに一般に公開することにしています。