米海軍イージス艦が石垣島に初寄港 石垣市内でさまざまな反応

アメリカ海軍のイージス艦が、11日、沖縄県の石垣島に寄港しているのが確認されました。
県内の民間港にアメリカ軍のイージス艦が入港するのは今回が初めてで、地元では、抗議のために港湾労働組合が午後1時からストライキを行うなど、反発の声も上がっています。

11日午前、石垣島に寄港したのは、アメリカ海軍のイージス艦、「ラファエル・ペラルタ」です。

朝から石垣港に向けてゆっくりと近づいてきたあと、午前8時半すぎに、港から少し離れた場所でいかりを下ろし、沖合で停泊を始めました。

アメリカ軍は、日米地位協定に基づいて、11日から補給や乗組員の休息を目的に石垣港に寄港する計画を港を管理する石垣市に打診し、市は当初、安全に使用できる岸壁がないなどとして入港を認めませんでしたが、その後、沖合への停泊を許可し、11日朝、寄港しました。

このイージス艦は、対空ミサイルなどを備えていて、沖縄県によりますと、県内で民間利用されている港にアメリカ海軍のイージス艦が入港するのは、今回が初めてだということです。

午後になると、乗組員の兵士たちが民間の小型船を乗り継いで石垣島に上陸し、寄港に反対する市民団体が抗議する中、休養などのためバスで市街地の方向へ移動していました。

アメリカ軍の拠点がない石垣島には、去年9月にも、14年ぶりに掃海艦が寄港していて、石垣島にアメリカ軍の艦艇が寄港するのは、今回で3度目です。

関係者によりますと、寄港は13日まで続く見通しだということです。

こうしたアメリカ軍の艦艇の寄港について、沖縄県は緊急時以外は民間利用されている港の使用を自粛するように求めていて、地元からは反発の声も上がっています。

港湾労働者でつくる労働組合は、抗議のために11日午後1時から石垣港でストライキを行っていて、影響は物流へも広がる見込みです。


【石垣市内で様々な反応】

アメリカ海軍のイージス艦が寄港したことを受けて、石垣市内ではさまざまな反応が聞かれました。

市内に住む60代の男性は「防衛目的の船として考えるならいいのではないか。みんないろいろな考えを持っているだろうしストライキをするのもいいと思う」と話していました。

また、70代の女性は「戦争は嫌なので反対している人の気持ちもわかります。ストライキによって今後、生活にどのような影響が出るのか気になります」と話していました。

市内に住む男性は「世界情勢に関わることでもあると思うので一概に賛成とも反対とも言えない。ストライキが続いたら生活の中で影響を感じるかもしれない」と話していました。


【石垣市の住民に不安の声も】

アメリカ海軍のイージス艦、「ラファエル・ペラルタ」が沖合に停泊する形で寄港し、石垣港では去年に続いて、アメリカ軍の艦艇が入港することになりました。
住民からは「港が使えるという既成事実をつくろうとしているのではないか」という不安の声も出ています。

石垣市で生まれ育った仲本賢治さん(72)は沖合で停泊したイージス艦が見える地域にある公民館で管理人をしています。

この公民館の裏は、海がすぐ見える場所になっていて、停泊しているイージス艦が肉眼ではっきりと確認できます。

仲本さんは、11日午前8時半ごろに、イージス艦がゆっくりと動いて停泊する様子を公民館から見たということで、「最初に見たときは怖いと思いました。ミサイルを積んでいる船と聞いているので、来ないでほしいなと思いました」と話していました。

そして、去年に続いて、アメリカ軍の艦艇が石垣港に入港することについて「港が使えるという既成事実をつくろうとしているのではないかと思ってしまいます。そして、こうした艦艇が入ってくることで、もし有事があった時に石垣が狙われる危険性もあるのではないかとも感じています。自分の子どもや孫のことを考えると、不安に思います」と話していました。


【市民団体が抗議】

アメリカ海軍のイージス艦が沖縄県内では初めて石垣島に寄港したことを受けて、港では市民団体が横断幕を掲げて抗議しています。

石垣島にアメリカ海軍のイージス艦「ラファエル・ペラルタ」が寄港したことを受けて、停泊場所に近い石垣市南ぬ浜町の旅客船ターミナルの入り口付近では、11日午前9時ごろから地元住民でつくる市民団体など20人余りが抗議活動を行っています。

集まった人たちは「島に軍事基地はいらない」などと書かれた横断幕やのぼりを掲げて、民間の船舶が行き交う港をアメリカ軍の艦船が利用することについて反対の意思を示していました。

抗議活動に参加した76歳の女性は「民間の港に軍事目的の船を入れないでほしい。この島でそういったことを許していいのかとしっかり抗議し、意思表示したい」と話していました。

また、横断幕を掲げた女性は「ミサイルを積んだ船が来ることに恐怖を感じる。今後も民間港にどんどん入ってくるようになるんじゃないかと危惧しています」と話していました。


【見に訪れる人も】

石垣市の海沿いには、寄港したアメリカ海軍のイージス艦を見に訪れる人たちもいました。

このうち、石垣島に頻繁に観光で訪れるという60代の男性は「興味本位で見に来ましたが、いざ実際に見てみると怖さを感じます。石垣島には去年、自衛隊の駐屯地ができるなど、あまりに急に変化しているので軍事的な脅威がものすごいスピードで増しているのかなと不安になります」と話していました。

また、近くに住む70代の男性は「散歩がてら艦艇を見に来ました。反対でもないし、喜んでいるわけでもないですが、ここは離島でいざという時に逃げ場がないので、アメリカ軍がいれば少し安心感があります。世界の情勢を考えると、この先、子や孫の世代が心配です」と話していました。