多忙を極める警察の今 パトロール活動に密着

全国にはあわせて1149の警察署が設置されています。このうち、那覇市のほぼ全域と周辺の離島を管轄する那覇警察署の110番通報の受理件数は、全国で2番目に多いんです。さらに数年前までは、12年連続で全国トップ。多忙を極める警察の現状を、事件担当の堀井香菜子記者が取材しました。

今回、特別に那覇警察署の通信室の撮影を許可されました。ここでは管轄する地域の110番通報、それに署に直接かかってくる通報を受け付けています。ひっきりなしに鳴り続ける電話。那覇警察署の110番通報は去年1年間(2023年)で4万7354件、1日に換算すると、およそ130件です。直接かかってくる通報を合わせると8分に1回は電話が鳴り、警察官が対応しています。

このうち、泥酔者関連が年間で6000件を超えています。この状況に警察は強い危機感を示していて、那覇警察署の大城美喜地域交通官は「泥酔者は路上寝やタクシー内での寝込みなどの通報が多く、交通事故に巻き込まれたり窃盗、仮睡者狙いの被害に遭ったりするおそれれが高いです」と指摘しています。

泥酔者が後を絶たず、アルコールに関連したトラブルが相次ぐ実態をみるため、警察のパトロールに同行してきました。

同行取材を開始したのは3月5日午後11時。まもなくするとタクシーの運転手から「男性客が車内で寝てしまい、まったく起きない」という通報がありました。警察官は男性客にタクシー料金を支払うように促し、帰宅させました。

翌6日、午前0時20分ごろ、無人の交番から署に通報がありました。交番にかけつけると、近くに通報した男性を発見。酔っ払った様子で警察官が落ち着かせます。
しかし、男性はその後も交番から署に電話をかけてきて警察官が対応にあたったということです。

その後も通報は相次ぎます。

歩道で眠ったままの男性を宿泊先のホテルに移動させたり、沖縄一の繁華街・松山では自動販売機の間で眠っていた男性に対応したりしました。

パトロールを行った警察官は「相手がどういったタイプか、どれくらい酒に酔っているかというのも考えながら、対応するべきだと感じています」と話していました。

パトロールに同行した3時間の間の通報件数は21件、このうち飲酒がらみは12件を占めました。

なぜ、110番通報が多いのか。

正確な理由はわかっていませんが那覇警察署に勤務経験がある複数の警察官に話を聞きました。

1人目の警察官は、「終電の文化がないため遅くまで街で飲む人が多く、深夜になっても通報が減らない」と指摘しています。

また、別の警察官は「外で寝ても凍死する恐れがないため、気軽に路上で寝てしまう」と話していました。

このほか、交通事故に関する通報も多く、「沖縄は車社会のため、交通事故が発生しやすい」と分析する警察官もいました。

通報の中には緊急性のないケースも少なくなく、県内の去年1年間の110番通報、およそ22万2000件のうち、不要不急の電話や無言電話といったいたずら電話などが4分の1が占めているということです。

最近は子どもが親のスマートフォンで遊んでいる時に自動で緊急通報できる機能を誤って作動させてしまうことも多いということです。

急がない内容で警察に相談したい場合は「#9110」という専用の相談ダイヤルがあります。

事件や事故といった一刻を争う通報に影響が出ないようにするために、警察は110番通報の適正利用を呼びかけています。