陸自訓練場の整備計画 うるま市長が白紙撤回を防衛局に要請

断念を求める声が相次いでいる陸上自衛隊の訓練場を整備する防衛省の計画をめぐり、これまで賛否を明言してこなかった地元のうるま市の中村市長が沖縄防衛局を訪れて、計画を白紙撤回するよう要請しました。

陸上自衛隊第15旅団の師団への改編で訓練が増えるため、うるま市石川のゴルフ場跡地を取得し、新たな訓練場を整備する防衛省の計画をめぐっては、住民の暮らしに影響が出るなどとして計画の断念を求める声が相次ぐ一方、地元のうるま市の中村市長はこれまで賛否を明言していません。

こうした中、中村市長は1日、沖縄防衛局の伊藤局長と面会し、計画を白紙撤回するよう要請し、初めて態度を明らかにしました。

この中で、中村市長は「地域住民をはじめ整備計画に反対する声が上がっている。住民の合意形成や理解を得ることは大変な状況にある」などと述べました。

これに対し、伊藤局長は「現時点においては白紙撤回の考えはないが、住民生活を重視する観点から取得後の土地利用のあり方を検討している」と述べました。

中村市長は記者団に対し「防衛省と民間の土地の売買について行政からコメントをすると、売買に不利益を与えると考えていたが、地域や市民がこれだけ行動している中で市長として政治的な決断をした」と話しました。

そのうえで、「地域の皆さんは来てほしくないとの意見が大半になる。この土地の計画を断念してもらいたい」と述べて、土地の取得自体を断念するよう求める姿勢を示しました。

【知事「土地の取得自体を断念すべき」】
陸上自衛隊の訓練場を整備する防衛省の計画をめぐり、地元うるま市の中村市長が1日、防衛省による土地の取得自体を断念するよう求める姿勢を示したことについて、玉城知事は「非常にすばらしい判断だと思う。土地を取得して耳あたりのいい内容を言っていても、状況しだいではいかようにも変化して土地を使用されてしまうのではないかという疑念はずっと残る。防衛省はしっかり受け止めて断念するべきだ」と述べ、土地の取得自体を断念すべきだとするうるま市長の姿勢に同調する考えを示しました。