沖縄県 ダム貯水率10年で最低に 比謝川からの取水を再開

沖縄本島にあるダムの貯水率が過去10年で最低となり、県は28日から有害性が指摘されている有機フッ素化合物の影響で停止していた比謝川からの取水を再開しました。

本島に11あるダムの28日午前0時の貯水率は44%と、平年よりも31.8ポイント少なくなっていて、過去10年で最も低かった6年前の44.3%を下回りました。

これを受けて県企業局は、有害性が指摘されている有機フッ素化合物=PFOSなどの影響で停止していた本島中部の比謝川からの取水を28日午前10時から再開しました。

PFOSなどの濃度の国の暫定的な目標値は、水1リットルあたり50ナノグラムで、比謝川は、これまでの検査でこの目標値を大きく超えたことがあります。

県企業局によりますと、比謝川などから取水している北谷浄水場での原水の濃度は、目標値を下回るおよそ26ナノグラムになる見込みだということです。

また県企業局は、活性炭を活用してPFOSなどを除去するため、浄水後の水では、さらに濃度が低くなるとしています。

ただ、比謝川からの取水を再開しても貯水率の大幅な改善は見込めず、このままの状況が続くと、給水制限を検討する可能性もあるということで、県などは節水への協力を呼びかけています。

去年から今にかけてのダムの貯水率を平年値と比較すると、去年9月に平年を下回り、そこから差が開き続けていることが分かります。

これは、去年9月以降、雨が少ない状況が続いていることが原因です。

また、今回を除き、過去10年で最も貯水率が低かった2018年に最低の44.3%となったのは6月中旬で、当時と比べると、実に3か月半早いペースで貯水率の低下が進んでいることになります。

また、当時は6月に台風が接近して大雨となったため、貯水率はすぐに回復しましたが、ことしはまとまった雨が期待できる梅雨入りまで、まだ2か月余りある状況です。

今後、いつ給水制限が行われるかについて、ひとつの目安になるのは、沖縄総合事務局が作成した渇水対応の行動計画です。

それによりますと、4月から5月に貯水率が25%を下回れば、夜間8時間の断水を検討、20%以下で夜間断水を実行すると示されています。

ただし、この計画の基準となっている貯水率は、毎日、県企業局が発表している11のダムのものではなく、うるま市にある山城ダムを除いた10のダムから家庭などへ供給される水が対象で、28日の時点では41.4%と、11ダムの44%に比べておよそ3ポイント低くなっています。

県企業局は、断水について、関係機関と協議しながら適切な時期を見極めたいとしています。