高裁那覇支部 サンゴ移植許可めぐる裁判 県の訴え退ける

アメリカ軍普天間基地の移設工事をめぐり、農林水産大臣がサンゴの移植を許可するよう沖縄県に出した指示は違法な国の関与だとして県が取り消しを求めた裁判で、福岡高等裁判所那覇支部は15日、県の訴えを退けました。

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古沖への移設工事をめぐり、埋め立て予定地のうち軟弱地盤のある大浦湾側に生息するサンゴおよそ8万4000群体について沖縄防衛局は移植作業を行う許可を県に申請しましたが、移設に反対する県は認めませんでした。

これに対し、水産資源の保護を所管する農林水産大臣がサンゴの移植を許可するよう「是正の指示」を出したことから、県は去年8月、「違法な国の関与だ」として指示の取り消しを求めて訴えを起こしました。

15日の判決で、福岡高等裁判所那覇支部の三浦隆志裁判長は「『是正の指示』は適法かつ有効で、国の関与権限を乱用したものであるとは認められない。県の請求には理由がない」などとして県の訴えを棄却しました。

移設工事をめぐりこれまでに沖縄県と国の間で起こされた裁判は、今回を含めてあわせて14件あり、このうち7件で県の敗訴が確定し、4件で和解が成立するか県が訴えを取り下げています。

【玉城知事のコメント】
判決を受けて玉城知事は「サンゴ類保護の観点からも重要となる特別採捕許可の「必要性」について具体的審理もせず是正の指示を適法とした不当なものだ。地方自治の本旨を顧みないものと言わざるをえない」とするコメントを発表しました。

県は、判決内容を踏まえて対応を検討するとしています。