首里城で幻のレストラン 新たな観光ツアーに

大規模な火災で焼失し再建工事が進められている首里城で先日、県が新しい形の観光ツアーを開催しました。ツアーのために3日間限定で設けられた“幻のレストラン”では創作琉球料理が提供され参加した人たちが舌鼓を打っていました。

首里城をめぐり、創作琉球料理のディナーを楽しみ県内の高級ホテルに宿泊する2泊3日の旅。

主催したのは県。国の補助金を活用していますが、1人あたりの料金はおよそ50万円です。

富裕層をターゲットにしたツアー。県はこれまでに南城市の知念城跡、そして、うるま市の勝連城跡でも企画。県外から有名シェフを招き、特別な料理と空間を提供してきました。

沖縄県観光振興課観光資源班の
照屋亮班長は「消費単価を上げてより魅力ある観光にするためにも、高付加価値の旅行っていうのも1つ沖縄の可能性としていろいろ挑戦したいと思っています」と話していました。

3回目の今回は2月10日から3日間、開かれ、定員は1日25人。すべて県外、国外からの参加者でした。

首里城のガイドは琉球王国時代のドラマの時代考証も務めた、歴史研究家です。

営業時間を過ぎて、誰もいない時間に設けられた幻のレストラン。

料理を作るのはレストランガイドブック「ミシュラン」で3つ星を獲得した東京・南麻布にある店の料理長です。

オリジナルのコースは全部で15品。夜行貝や、アバサーなど沖縄の高級食材が使用されています。

メイン料理は今帰仁産の山羊の料理です。ソースは四川風にアレンジされ、糸満産ピパーチがアクセントになっています。

国の重要無形文化財、「琉球舞踊」の保持者によるパフォーマンスも披露。参加した人たちは、最上級のおもてなしを堪能している様子でした。

参加した人たちの反応は。

「やっぱり人がいないようなこういう環境でお食事までいただくとすごく神聖な気持ちになりました」

「このレベルの料理を、この環境でというのは本当に2度と経験できないような気持ちになりましたので、ぜひこれからもいろいろな試みをしていただけたら、すごくいいんじゃないかと思います」

「ふだんお金をこれだけ出したら同じことができるわけではないので。美味しい料理を食べてふと見上げたら城壁があってふだん見慣れない植物があって特別な体験です」

高い付加価値を付けた新たな観光のあり方に、県の担当者も手応えを感じていました。

沖縄県観光振興課観光資源班の
照屋亮班長は「今回貴重な経験をさせていただきましたので、このまま沖縄県としてもですね、もっと可能性といいますか、沖縄県らしさっていうところを事業者の皆さん、地域の皆さんと連携して取り組んでいけたらなと思いました」と話していました。

今回のツアーは、県が国の補助金を活用して実験的に行いました。
その背景には、観光客が集中することによる混雑や環境破壊などいわゆる「オーバーツーリズム」への懸念があるんです。県の担当者は、観光客を増やすという視点だけではなく、ひとりあたりの単価をあげて、持続可能な観光地づくりを目指していきたいと話していました。