うるま市で予定されている陸上自衛隊訓練場 整備をめぐる動き

うるま市で予定されている陸上自衛隊の訓練場の整備をめぐる動きについて、取材している宮原啓輔記者が解説します。

Q、訓練場の整備計画とは?

(宮原記者)
防衛省は、那覇市に司令部がある陸上自衛隊第15旅団の師団への改編による人員の増加に伴って、県内に3か所ある訓練場を1か所増やす計画です。

訓練場の予定地は、うるま市のゴルフ場跡地で広さはおよそ20ヘクタール。

選定理由として中部に位置し利便性が高く、すでに開発され自然環境への影響を抑えられることなどがあげられています。

ここでは夜間の行進、新人隊員の射撃動作・部隊展開・災害対処などの訓練が予定されています。防衛省は来年度に用地を取得し、その後、2026年度に着工予定です。

Q、住民たちの反応は?

(宮原記者)
周辺は静かな住宅地で、生活環境への影響を心配する声が聞かれます。

予定地からおよそ60メートルの距離には「県立石川青少年の家」もあります。

地元出身で所長を務める石原昌二さん(66)は自衛隊の役割は理解しているものの、今回の計画には個人として納得できないといいます。

石原さんも入っている地元の旭区自治会は1月、臨時総会を開催し、全会一致で整備計画に反対の決議を採択しました。

その動きは広がっていて、うるま市石川の15の自治会で作る自治会長会でも計画に反対することで一致しました。

Q、2月11日に開かれた防衛省による住民説明会では?

(宮原記者)
説明会には、住民およそ280人が参加し、計画に反対の声があがりました。

住民からは「防衛力の強化には、賛成している人もいるが、そういう人でも今回、この訓練場をこんなところにつくることに対しては、絶対反対だと言うことで一致している」とか「立地条件に合わないと思う」とか「自衛隊の施設がどんどん広がってしまうとこの地区は危険な地域になってしまうので計画は断念して下さい」といった声が聞かれました。

一方、防衛省側は「地域への影響を最小限にしたい」という考えを示しました。

当初、空包の使用やヘリコプターの輸送訓練を想定していましたが、説明会で、実弾・空包などは使用せず、ヘリは災害時・緊急時などを除いて飛行しないと、内容を一転させました。

また、「車両は住宅密集地を避けて走行する」としていますが、「ルートは検討中」と述べるにとどめ、訓練場は「アメリカ軍の使用を想定していない」とも説明しました。

Q、多くの住民から反対の意思が示されていますが、地元のうるま市、そして、防衛省の考えはどうなんでしょうか?

(宮原記者)
うるま市の中村市長はこれまで計画への賛否を示していません。

防衛省は、新たな訓練場は南西地域の防衛体制の強化の観点などから非常に重要な基盤だとして予定通り計画を進めたい考えです。

また、木原防衛大臣は、住民に丁寧な説明を行っていく考えを示しています。

しかし、防衛省の地元への説明会は今回が初めてで、対象も訓練場の予定地のある地区と隣接する地区の住民に限られました。

説明会は予定を30分過ぎても住民からの質問は途切れませんでしたが、防衛省側は打ち切りました。

安全保障に関わる国の施設の安定的な運用には、住民の理解が欠かせないと思います。

地域の人たちの声に真摯に向き合い、もっと丁寧に進めていくべきではないかと感じています。

うるま市の自衛隊の訓練場をめぐる動きについて、宮原記者の記者解説でした。